極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない
翌日、早番で仕事を終えた私は、羽田空港の展望フロアで樹くんを待っていた。
数日前からロスに滞在していた彼は、ロサンゼルス国際空港を往復するフライトを担当し、そろそろ羽田に到着する頃だ。
樹くんの乗った便を待ちわびていると、ほぼ定刻通りに滑走路に下りてきたジャンボジェット機が無事に着陸した。
ちょうど私の目の前に駐機したそのコックピットに、彼の姿を確認できた。
(かっこいい……!)
遠目に見ても一瞬でわかった樹くんは、機長となにか話しているようだった。
思わず、すぐ傍に設置されている双眼鏡を使いたくなったけれど……。なんだかストーカー行為みたいに思えて、さすがに我慢する。
しばらく様子を窺っていると、樹くんがこちらを見た。
「樹くん!」
反射的に名前を読んで手を振った私は、ハッとして周囲を見回す。
幸い、展望フロアにいる人は少なく、みんな飛行機を見たり写真を撮ったりするのに夢中だった。
(そもそも、気づいてもらえるはずがないし、中で待って――)
なんて考えたさなか、彼がふっと微笑んだ。
次いで、白い手袋を纏った右手が軽く上げられる。
「嘘……! 気づいてくれた?」
胸の奥にくすぐったいような喜びを抱きながら笑顔になって、手を大きく振り返してしまった。
数日前からロスに滞在していた彼は、ロサンゼルス国際空港を往復するフライトを担当し、そろそろ羽田に到着する頃だ。
樹くんの乗った便を待ちわびていると、ほぼ定刻通りに滑走路に下りてきたジャンボジェット機が無事に着陸した。
ちょうど私の目の前に駐機したそのコックピットに、彼の姿を確認できた。
(かっこいい……!)
遠目に見ても一瞬でわかった樹くんは、機長となにか話しているようだった。
思わず、すぐ傍に設置されている双眼鏡を使いたくなったけれど……。なんだかストーカー行為みたいに思えて、さすがに我慢する。
しばらく様子を窺っていると、樹くんがこちらを見た。
「樹くん!」
反射的に名前を読んで手を振った私は、ハッとして周囲を見回す。
幸い、展望フロアにいる人は少なく、みんな飛行機を見たり写真を撮ったりするのに夢中だった。
(そもそも、気づいてもらえるはずがないし、中で待って――)
なんて考えたさなか、彼がふっと微笑んだ。
次いで、白い手袋を纏った右手が軽く上げられる。
「嘘……! 気づいてくれた?」
胸の奥にくすぐったいような喜びを抱きながら笑顔になって、手を大きく振り返してしまった。