極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない

「金額は気にしなくていい。芽衣が俺とお揃いでつけたいと思うものを選んで」


樹くんの前では、なにもかも見透かされてしまって困る。
それに、金銭的なことが気になるのはもちろんだけれど、そもそもどれも素敵なデザインばかりで選べないのだ。


「芽衣はこういうシンプルなやつの方がいいんじゃない？　普段の服装は綺麗系なものが多いし、あんまり派手なデザインって好きじゃないだろ？」

「よく知ってるね」


感心する私に、「まあね」と得意げな微笑が返される。


彼が勧めてくれたのはシンプルなシルバーリングに小さなダイヤが一粒埋め込まれているもので、確かに私が好きな系統だった。
これなら仕事や家事の邪魔にもならないし、持っている服ともよく合いそうだ。


樹くんは他にも提案してくれたけれど、どれも本当に素敵だった。


そのうち夢中になって見入ってしまい、いくつも試着をさせてもらって……。それなのに、なかなか決められず、見兼ねた彼が「また改めて来よう」と言ってくれた。