極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない

「もうこんな時間……。ごめんね」

「なんで？　俺は楽しかったよ。それに、今日で決まらなくてもいいと思ってたし、もともと芽衣が気に入るものが見つかるまで何軒でも回るつもりだったから」


笑顔の樹くんに、「次はとりあえずランチだな。なにがいい？」と尋ねられた。


特にリクエストがなかった私が悩んでいると、彼がたまに行くというお寿司屋さんに連れて行ってくれた。
見たところ、気軽に友人とランチで来られるような雰囲気じゃない。


樹くんは「別に高級ってほどでもないよ」と苦笑していたけれど、私にとって回っていないお寿司は高級品だ。
ネタはどれも大きくておいしくて、大将おすすめの桜鯛なんて最高だった。


ランチのあとは予定通り水族館に向かったけれど、チケット代を払おうとした私の目論見は、すでにデジタルチケットを購入してくれていた樹くんに阻まれた。