極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない
帰宅早々、ふたりともソファに座り込んだ。


「すっかり遅くなったな」

「うん。こんなに遊んだのって、すごく久しぶりだった」

「俺も。まさか朝の八時過ぎからこんな時間まで動き回ることになるとは思ってなかった」

「でも、すごく楽しかったよ。幼なじみ思い出ツアー」

「思い出ツアーか。確かにな」


顔を見合わせ、思わずクスッと笑ってしまう。


私たちが水族館を出たのは、十七時頃だった。
そのまま大きな公園に立ち寄り、色とりどりの花が咲く園内を散歩をした。


夕食は、その公園の近くにあるファミレスで済ませ、最後にお台場方面へドライブをしてようやく帰路に就いたのだ。
そして、午後から回った場所は、水族館を含めてすべて両家で遊びに行ったことがあるところだった。


「意外と記憶に残ってるものだな」

「うん。思い出話ばっかりしてたもんね」


たとえば、水族館ではイルカショーのサインを出す役に聡くんが選ばれたり、迷子になった私を樹くんが見つけてくれたり。
公園では、鳩に囲まれた私が怖くて泣いてしまったり、聡くんと真衣が噴水に飛び込んでこっぴどく叱られたり。
ファミレスでは、私と真衣がお子様ランチのおもちゃを取り合ったとか。


話せば話すほど思い出が蘇ってきて、行く先々で懐かしい話に花が咲いた。
盛り上がりすぎた私たちは、二十二時半を過ぎてようやく帰宅したのだ。

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