極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない

「そもそも、こうなるかもしれないことくらい最初から想像できたはずでしょ。不器用なくせに、契約的な結婚なんかするからややこしいことになるのよ」


図星を突かれて、口を噤む。
確かに、樹くんと結婚することを考えたとき、こうなる可能性を予想しなかったわけじゃない。


恋愛経験が乏しい私が、付き合ってもいない男性と体の関係を持っただけでも大ごとなのに……。幼なじみとはいえ、勢い余って結婚してしまうなんてさすがに身の程知らずだったとは思う。


けれど、あのときはきちんと考えた上で決めたし、私なりに決意は固かった。
ただ、彼の甘さが予想以上で……。うっかり、また恋に堕ちてしまったのだ。


「とにかく、自分の気持ちを隠せないなら言うしかないし、言えないなら隠すしかないだけ。どちらにしても私は付き合い切れないから、自分でどうにかしなさい」


グルグルと思い悩む私に、彼女は突き放すような笑顔を向けてきた。