初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい

1プロローグ ※ステフ視点



「私はお前を愛することはない。私に愛を期待しても無駄だ!」



 ナイトドレスを着たわたくしを前に、そう宣言したのは、今日からわたくしの夫となったミッチー……もとい、マイケル=マクマホンです。

 侯爵家の長男として育ったはずの彼は、分厚い眼鏡が位置をずらしてしまうくらい息を乱していました。
 男性にしては長めの焦茶色の髪は、白いベッドに散らされています。
 女性よりも白いその肌は、首から上が可哀想なくらい赤く染まっていて、眼鏡の奥で揺れるベリー色の瞳がなんともいえない色気を漂わせています。

 そんな色気たっぷりのインドア感溢れる旦那様を見たわたくしは、その言葉を聞いた後、ふむ、と考え込みました。

 ここはどう出るべきかしら。


「考え込む前に、私の上から退け!」


 おや、と私は思考の海から戻ってきます。

 そういえばわたくし、これから初夜だと思って旦那様をベッドに押し倒していましたわ。

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