初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい
5 結婚休暇2日目:妻に本当に嫌われているかもしれない
チュンチュンと鳥の声が聞こえて、私はようやく目を覚ます。
ベッドの上でぼんやりしながら、隣をふと見て誰もいないことを確認し、ぽっかりと胸に穴が空いたような虚しさを感じる。
その後、枕元に積み上がった本を見て、ため息をついた。
ステファニーを追いかけて本邸に向かった昨日、私はあれからステファニーに会うことはできなかった。
そして、散々母と妹二人から詰られた。
それはまだいい。私が悪いのだから。
問題はその後だ。
私は妹二人から、数冊の本を渡されたのだ。
「ほら、今直ぐこれを読んで」
その本は、どれも薄くて読みやすそうな文体の大衆向け娯楽小説だ。
そして、タイトルが異様だった。
『初夜に【君を愛することはない】と言われたので、復讐することにしました』
『初夜に【君を愛することはない】と言われたので喜んでいたら、それを言った当の本人が狼狽えています』
『初夜に【君を愛することはない】と言われたので、流行りの初夜離縁しました。全く、そういう大事なことはもっと早く言いなさい』
『初夜に【君を愛することはない】と言われたので驚いた瞬間、精神魔法をかけられました。夫が敵国のスパイだなんて聞いてません!』
「な、なんだこれは……」