初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい


「ステフ」
「ひぇッ!? は、はい」
「しょの愛らしい瞳に私以外のものバカリ映すなんて、悪い子だナ……」
「!!???」

 よ、よぉし、キマったぞ!
 少し噛んでしまったが、まあ許容の範囲だろう。
 妹達から昨日借りたばかりの『溺愛シリーズ』書籍によくこのセリフが登場していたのだ。
 しかし、セリフありきの言葉ではない。ステファニーを見て、自然とたどり着いた言葉だから、悪くはないはずだ。
 そうだよな、信じているぞバーナード!!

 私は妹と友人と書籍に感謝しながら、ステファニーにキメ顔を向ける。
 ステファニーはそんな私を見て、またしても、口を顎が外れそうなほどカパっと大きく開けていた。
 その後ステファニーはすごい勢いで侍従侍女達の方を向いていたが、全員がぶんぶんと顔を横に振っている。
 なんだ、それは一体どういう反応なのだ!?

(ま、まだまだ行くぞ! 生まれ変わった私の新たなる側面を、ステファニーの心に焼き付けるのだ!)

 手や体の震えを無視しながら、私は奇跡(ミラクル)を生み出す真実の愛の使徒(ラブマイスター)を目指して、邁進するのだった。
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