初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい

9  結婚休暇7日目:夫の様子に戸惑いを隠せない妻 ※ステフ目線



 おはようございます皆様。
 もぎたてフレッシュな新妻7日目のステファニーですわ。


 初夜に喧嘩して以降、ようやく昨夜、わたくしは別邸に戻って参りました。

 縋るミッチーに絆されたのかですって?
 そのとおりですわ、わたくしはわたくし特効のまたたび酒に速攻でKOされてしまったのですわ。

 大体、ミッチーは「失った君の気持ちを、これから取り戻してみせる」「君の気持ちを再燃させてみせるよ」と言っていましたが、常に最高潮にファイヤーしているわたくしの愛(ストップ高)をこれ以上燃やしたら燃えカスになってしまいますわよ?


 それにしても、ミッチーは昨日から様子がおかしいのです。
 しどろもどろになりながら、普段でしたらあり得ない発言を繰り返すその様は、10年以上の付き合いのあるわたくしですら今まで見たことがないものでした。

(大丈夫かしら……。一体これから、ミッチーは何をするつもりなのかしら……)

 『わたくしの気持ちを()()()()(無理)』ために、彼は何かを企んでいるようです。
 昨夜、この別邸に向かう馬車の中でも、ミッチーは不意にくつくつと怪しげに笑っていました。

(怪しい……正直もはや恐ろしいくらいですわ……)

 わたくしは最高潮に警戒しながら、朝食のため、食堂に向かいます。

 食堂への道すがら、廊下で何人かの使用人とすれ違いましたが、わたくしの姿を見て皆一様に微笑んでくれます。
 どうやら使用人達はわたくしの帰還を喜んでくれているようです。新婚初日にして家を飛び出したわたくしを暖かく迎え入れてくれるなんて、優しい使用人に囲まれてわたくしは幸せですわ。

 そしてそんなふうに考え事をしていたその瞬間、事件は起きたのです。


「ス、ステフ! きょきょきょ今日も一段と美しいな、マイハニー!!!」

「!??」


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