初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい
3 結婚休暇1日目:妻が朝食に来なかった
「おはようございます、若旦那様」
「……おはよう」
昨日結婚式を挙げた私は、侯爵家を出て、マクマホン侯爵家の別邸に住まいを移した。
父が侯爵を私に譲った暁には、私とステファニーは本邸で暮らすことになるが、今の私は次期侯爵に過ぎないので、夫婦で別邸住まいなのである。
そして、この別邸の主人は私だ。
執事から若旦那様と呼ばれ、若干むず痒い思いをしながら、私は朝食の席に着いた。
しかし、そこにいるのは執事と侍女侍従達だけで、彼女はいない。
彼女のことだから、私と違ってしっかり睡眠をとり、朝になったら何事もなかったかのように「ミッチー!」といつもの笑顔で突撃してくるものだと思っていたのだが……。
蓋を開けてみれば、そこは私一人だけが席に着く、静かな食堂だった。