シャンプー~私と課長のハジメテの夜~
「いい飲みっぷりだねー」
断れないうちに強引に、おじさん社員がグラスにビールを注いでくる。
「井町さんって彼氏いなさそうだねー」
「はぁ……」
それしか返す言葉がないので、そればかり出てきた。
はっきりなにも言わず、笑って受け流している自分が悪い自覚もあるが、どうしていいのかわからない。
「もしかして処女なんじゃないの?」
ぴくっ、と指が反応する。
そんなの、言われたくない。
けれど私はなにも言えずに笑顔を貼り付けることしかできなかった。
「おじさんが卒業させてあげようか」
にたり、と彼の目がいやらしく歪み、背筋に寒いものが一気に駆け抜けていく。
「あ、ほら、それもぐいっと空けちゃいなよ」
またにたりと彼の目が歪む。
酔わせて、襲う気。
我慢の限界がきて、口を開きかけた、が。
「……!」
不意に、私の手の中からグラスが消えた。
――ゴクゴクゴクゴク!
一気にそれを飲み干し、ぷふぁーっと息を吐いたその人は、その銀縁眼鏡と同じくらい冷たい目でおじさん社員を見下ろした。
「いままでの発言と行動、問題にさせてもらいますから」
「ひぃっ」
断れないうちに強引に、おじさん社員がグラスにビールを注いでくる。
「井町さんって彼氏いなさそうだねー」
「はぁ……」
それしか返す言葉がないので、そればかり出てきた。
はっきりなにも言わず、笑って受け流している自分が悪い自覚もあるが、どうしていいのかわからない。
「もしかして処女なんじゃないの?」
ぴくっ、と指が反応する。
そんなの、言われたくない。
けれど私はなにも言えずに笑顔を貼り付けることしかできなかった。
「おじさんが卒業させてあげようか」
にたり、と彼の目がいやらしく歪み、背筋に寒いものが一気に駆け抜けていく。
「あ、ほら、それもぐいっと空けちゃいなよ」
またにたりと彼の目が歪む。
酔わせて、襲う気。
我慢の限界がきて、口を開きかけた、が。
「……!」
不意に、私の手の中からグラスが消えた。
――ゴクゴクゴクゴク!
一気にそれを飲み干し、ぷふぁーっと息を吐いたその人は、その銀縁眼鏡と同じくらい冷たい目でおじさん社員を見下ろした。
「いままでの発言と行動、問題にさせてもらいますから」
「ひぃっ」