シャンプー~私と課長のハジメテの夜~
「後悔、しない?」
「しないです。
私はずっと、嶋貫課長がその、……好き、だったから」
「そう」
それっきり彼は再び黙ってしまい、会話は続かない。
もしかして二十七の処女をもらってくれとか迷惑な話だったんだろうか。
後悔はしないと言ったばかりなのに、違う後悔が襲ってくる。
嶋貫課長がタクシーを停めたのは、コンビニの前だった。
「ここ……ですか?」
「いや、もうちょっと先。
うち、飲みもんとかなんもないから、買わないとだろ」
コンビニへ入っていく彼を追う。
「あの、お気遣いは無用ですので」
「あー……。
俺が、飲みたいの。
飲み足りないの、さっきのじゃ」
嶋貫課長の顔が唇が触れてしまいそうなほど至近距離まで近づいて、思わず背中がのけぞった。
「あ、はい。
わかりました……」
「うん」
私の返事で満足したのか、嶋貫課長はカゴを手に店内をうろうろしはじめた。
することがない私も、適当に店内を見て回る。
「あ……」
化粧品コーナーでふと気づく。
今日はたぶん、嶋貫課長のお宅にお泊まりになるわけで。
そうなると、基礎化粧品とか持ってきていないわけで。