シャンプー~私と課長のハジメテの夜~
「買っといた方がいいよね……」

最近のコンビニは気が利くというか、お泊まり用に小分けパックになっているのがあって非常に助かる。

「あ、シャンプーとかも買っとけよ。
うち、女性用なんてないからな」

「ひっ」

突然、後ろから手がにゅっと出てきて、目の前のシャンプーセットを掴んだ。
おかげで悲鳴が出てしまう。

「なんだ、変な声出して?」

「あ、いえ……」

不意打ち、は心臓に悪いです。
……でも。

『うち、女性用なんてないから』

それってここ最近、付き合っている女性はいないって思っていいですよね。
少なくとも、同棲している女性はいないのは確か。
まあ、そうじゃないと私を誘ったりしないだろうけど。

「ほら」

ぐいっと、嶋貫課長がカゴを差し出してくる。

「いえ、自分で買いますので……」

「いいよ、そんくらい買ってやる」

くいっとなぜか、嶋貫課長は眼鏡をその大きな手で覆うようにあげた。

「じゃあ……」

数本のビールと、おつまみの入ったカゴの中に基礎化粧品セットと、シャンプーのセットを入れる。

「あとお前のお茶とかコンビニスイーツとか入れろ」

「あの……」

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