忘却の天使は溺愛に囚われて
1.見知らぬ男
高校一年の冬。
お父さんが不慮の事故で亡くなり、私はお母さんと地元を離れることになった。
それから二年の月日が流れ、私……花咲乙葉は無事に大学の進学先が決まり、残りの高校生活を満喫していた。
高校最後の冬休みが訪れ、私は地元の友達に会いにいくため、帰省することになった。
「あっ、乙葉! こっちこっち」
「ユキ! 久しぶり」
地元に到着し、早速友達のユキと合流する。
二年ぶりの再会でとても懐かしい。
「乙葉、また一段と綺麗になったね。大人の女性って言われても信じちゃいそう」
「もー、やめてよユキ」
私たちは近くのカフェに入り、お互いの近況を報告する。
いつしか二人の思い出話に変わり、時間も忘れて盛り上がっていた。
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