御曹司の初恋ーーお願いシンデレラ、かぼちゃの馬車に乗らないで
「なぁ、浅田さんと旅行をしてみてみたらどうだい? ほら君達は出逢って日も浅く、お互いを知る必要があるだろう?」
「申し訳ありませんが結婚式の準備がありますし、父の様態も安定していません。何もこのタイミングで出かけなくとも新婚旅行へ参りますのでーー」
即答でそこまで告げ、みなまでは言わなかった。
浅田さんは伯父様を通して用件を伝えてくる。彼もまた忙しい人な故、わざわざ屋敷へ足を運び私を構う時間がないのだろう。
旅行のお誘いもだが、食事や観劇の招待も愛がない結婚をより良くする手段というより、既成事実を作りたがっているように受け取れた。
「まぁまぁ、そう言わず。伊豆の別荘に行ってきなさい。管理人には連絡をしておいた。温泉地ならば浅田さんも日頃の疲れを癒せるはずだ」
「そ、そんな勝手に困ります!」
「箱入り娘で父親の手伝いしかしていない姫ちゃんに予定などあるのか?」
それを言われてしまうと返す事が出来ない。伯父様は大きな口でショートケーキを飲み込み、ごくごく紅茶で流し込む。
「今一度、姫ちゃんが置かれている現状を考えなさい。仮にこの縁談が駄目になれば、お父さんの事業は立ち行かなくなる。お母さんが好きだったこの屋敷も手放さないといけないだろうねぇ」
「申し訳ありませんが結婚式の準備がありますし、父の様態も安定していません。何もこのタイミングで出かけなくとも新婚旅行へ参りますのでーー」
即答でそこまで告げ、みなまでは言わなかった。
浅田さんは伯父様を通して用件を伝えてくる。彼もまた忙しい人な故、わざわざ屋敷へ足を運び私を構う時間がないのだろう。
旅行のお誘いもだが、食事や観劇の招待も愛がない結婚をより良くする手段というより、既成事実を作りたがっているように受け取れた。
「まぁまぁ、そう言わず。伊豆の別荘に行ってきなさい。管理人には連絡をしておいた。温泉地ならば浅田さんも日頃の疲れを癒せるはずだ」
「そ、そんな勝手に困ります!」
「箱入り娘で父親の手伝いしかしていない姫ちゃんに予定などあるのか?」
それを言われてしまうと返す事が出来ない。伯父様は大きな口でショートケーキを飲み込み、ごくごく紅茶で流し込む。
「今一度、姫ちゃんが置かれている現状を考えなさい。仮にこの縁談が駄目になれば、お父さんの事業は立ち行かなくなる。お母さんが好きだったこの屋敷も手放さないといけないだろうねぇ」