ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
この愛を一歩、一歩/その14
多美



おけいが家を出た…

そして、愛する人と一緒に住んでるそうだ

先週、アイツの家に電話したんだが、美咲ちゃんが出て、なんか様子が変だったのは感じた

その時は泊りがけで出かけてるとかで、戻ったら連絡させるということだったわ

で、一昨日おけいから連絡があった

そんで、いきなり聞かされて…

驚いたわ、ともかく…

今日は祥子と3人で会うことになってる

午後4時半…

バイトは4時までだって言ってたから、もうそろそろ来る頃かな


...



「でもよう…、あのおけいが警察入って高校退学とはなあ…。まあ、クスリとか相和会のバックとか、その辺は以前から薄々だったけど…。でもよう、その後家出して彼と同棲ってんだから、びっくり仰天だよ…」

展望公園のベンチで腰かけてる隣の祥子は、腕組みしながらそう言うと、溜息を吐いた

「麻衣ともこの夏、いろいろあったみたいで、今、絶縁状態らしいしな。おけいって、私らに中では一番フツーの女子高生だったよな。本来は私らみたいな不良連中と一緒になるタイプじゃないだろ。それなのになあ…」

うん、そうだよ

おけいはそもそも、南玉連合には入る気なんて全くなかったし、不良とかズベでもない

奔放だが、学校側から見たら、どちらかというと優等生だよ


...



「思い出すよ、アイツと出会った日。親善駅伝のチームが一緒だったんだけどさ。リハん時、手抜きした東京もんに突っかかっていた私のこと、体を張って制止してきたよ(苦笑)」

おけいはフェアな立場で、毅然とその場を収めたんだよな

ある意味、ショックを受けたよ

それからヤツとは意気投合してね…

そうそう、テツヤも交えてさ(苦笑)

あの日のことは忘れられない、たぶん一生…

「アイツ、バラバラだったチームをまとめて、結局3位に導いてくれたんだ。東京と埼玉の垣根を越えてさ。祥子の言うとおり、陸上で一生懸命、部活に励んでたフツーの高校生だったな」

それが、麻衣と出会ったことで、アイツの人生が変わった…





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