ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
接近/その3
追川



そうなると、どういうことになる…

「今回の合意で実を得たのはどっちになるかな?」

「まあ、相和会じゃないかと思う。所詮、関東と関西はガラスの関係だ。いつドンパチになるか、わからん宿命だしな。将来的な拘束は面倒の元だ。やはり避けたいってのが本音だろうさ。でも今、まずは対相和会で、仕方ねーだろってとこじゃねえかな」

俺は最後に尋ねた

「抽象的、包括的とはいえ、当面のことでひとつ二つはわからないか?」

「…」

こういうやり取りで沈黙は珍しい

当然さ、秒単位でメーターは動いてるんだ、こっちにとってはな

とういうことは、答えが見当たらないということか


...



「すまんな、約15秒か。1分の4分の1だな。よし、30秒分割り引く。その上で言おう。警察側、権力側からクレームがつくネタは断じてNGってことで、相和会はシグナルを送ったみたいでな。これを受けたお相手方から、ならこっちは相馬豹一が残した”形跡”を抹殺したい。金輪際ってことで。これを条件に出したと伺えるよ」

ここまでだ

Gと別れた後、彼からの分析報告を自分なりに整理してみた

そうさ、俺にはこれまで時間をかけて相和会を当たってきたんだ

トータルに見定めてみれば、何かが透けるかもしれない

そんな思いがあったんだ


...



業界の異端児、相馬豹一の作り上げた相和会を、俺は外部の人間では最も知り得た人間だ

だが、Gからの情報を消化しきれない

どこか途切れるんだ、どうしても…

そこを埋めなければ答えに辿り着けない

横田競子と香月アキラ、そして本郷麻衣を危険から遠ざけることができないぞ!


...



プルルーン、プルルーン…

夜11時を回っところで、自宅の電話が鳴った

受話器を取ると、待っていたもう一つのネタ元からだった

そのネタ元はいわゆる権力側の流し屋だ

元役人で、手口は決してきれいではないが、持ち込んでくるネタはリアルなもので、時折有用している

今回も複数のあたりで、立体的なネタを持ってきた

その結果…

見えてきた、見えてきたぞ…







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