ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
再び出会った道/その18
ケイコ



アキラは理解してくれたみたいだ

麻衣の”今後”によっては、巡り巡って私たちが再び”厄介”な状況に引き込まれる…

そんなの、納得いかないけど、可能性はあると思うし…


...



それにしても、あの”撲殺男”の倉橋さんが、ヒールズでの事件で、在日系の悪ガキを懲らしめた英雄になってるなんて…

逆にその場に居合わせた砂垣さんは、血を見て命乞いした腰抜けに収まってるし

まあ、南部さんと高本さんに”例の後始末”を押しつけて自分は逃げたらしいから、ビビッてたのは本当のことだろうけど…

なにしろ、この脚色は麻衣の挑発だよ

ヤツのことだ、裏ではすでに行動してるよな


...



「で、どうする?ここでオレ達二人の結論とするか。それとも…」

そうよね…

追川さんにある程度の話をする

そして、その上で再度意見を求める…

アキラはそうした方がいいと思ってるんだよな


...



”真実…、それはかけがえのないもの…”

追川さんは今日、”真実とは何か”の問いにそう答えたそうだ

アキラはその言葉を聞いて、やや意外だったと言ってた

アキラの言ってる真意はわかるし、私もそう感じたな

「アキラさえ良ければ、追川さんに話せる範囲で伝えたらどうかと思う。私たちが知ってることを…。3人で会ってさ」

「ケイコちゃん…、いいのかい?」

アキラは神妙な顔して、念を押してきた

「うん。まあ、どこまでをどういうふうに話すかは慎重にさ、二人でよくね…」

「よし、じゃあ、そうしよう」

これで決まったわ

でも、実はもうひとつ、肝心なことが残ってる…


...



こればかりは簡単に結論が出ない

いや、出せないよ

下手したら、一生考えて、迷ってそのままかも…

私たちが知っている本当のこと

それは真実…

週刊誌のベテラン記者が言う、”かけがえのないもの”…

それを黙っていること

すなわちそれって、ウソをつき通すことに等しい

それがどんなに辛いことか…

あれ以来、ひと時もそれから解放されたことはないよ

これからもずっと続くのか…

こう考えるにつけ、心が痛むよ

お互い口には出していないが、アキラもこの辛苦を一緒に背負ってくれてる






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