ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
ざわめき/その3
追川




なにしろ相和会はヤツが拘留中に、関東、関西双方と新たなルールを構築したんだ

となれば、奴らそれぞれの思惑から、ヤツにはアプローチがあるはずだ

場合によっては、消される状況だって考えられる

次第によっては、他ならぬアキラとケイコの身の安全にも、大きく関わってくる可能性がある

そして、明日、この二人と会うことになった

向こうから今度は3人でと、提案してきたんだ

おそらく、明日は二人が知り得ていることを少なからず、聞けると思う

その中心は、本郷麻衣に関する件になるだろう

そうなれば、麻衣と倉橋がくっついたこと、そして間宮の出所がもたらすその先…

今まで見えなかったものが、目の前に広がってくるかもしれない


...



今日、彼ら二人と会うの場所は、ここ中央公園だ

午後3時半、秋晴れの公園では、散歩やジョギングをしている老若男女が、日常のひと時を醸し出していた

待ち合わせの噴水前のベンチで待つこと数分、二人がやってきた

「追川さん、お忙しいところすいません。まず紹介します。彼女が横田競子です」

「初めまして、競子さん。ああ、初めてじゃなかったか、はは…」

「追川さん、電話では色々失礼しちゃって、申し訳ありませんでした。いろいろ教えていただいて、感謝してます。今日はよろしくお願いします」

この横田競子は、学校ではすこぶる評判がよかった

ピュアで、天真爛漫、誰にでも分け隔てなく接することのできる、極めてフェアで健康的な子だと…

一言かわして、その評価は100%的を射てると確信できたよ

ところが、彼女は本郷麻衣と並んで南玉連合のトップに就き、違法薬物所持、使用の疑いで警察沙汰を引き起こした

今は高校を退学処分となり、家を出て、ここにいる年上の彼と同棲中だ

そしてその彼こと、香月アキラもまた、その薬物で警察に拘束されていた


...



俺は先に相和会の新しい動き、そして、間宮が警察から出てくることを二人に伝えた

アキラとケイコは冷静に聞いていたよ

この前も感じたが、この二人は何かを超えた佇まいがある

おそらく、のた打ち回るような苦しみを味わいながらも、二人で目の前の現実に立ち向かっているんだろう

「追川さん、今日はこちらから二人の知っていることを、今話せる範囲でお話ししようと思ってるんです」

来た!

思わず俺は胸の内で叫んだ

よし、この後には、何かがつながる

何かが見えてくるぞ…






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