ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
ざわめき/その4
追川
二人はお互い補足し合うように、話しを続けた
案の定、大半が本郷麻衣に関してだった
俺は極力、途中でこちらから質問することを避け、二人の聞き役に努めたよ
二人の表情をじっと観察しながら、それこそ、一言たりとも聞き逃さんばかりに集中して…
...
二人はおよそ30分ちょっと、本郷麻衣と自分たちのこれまでを軸に話してくれた
本郷麻衣がなぜ、17歳の少女でありながら、今の現状に至っているのか
その大きな疑問が、だいぶ紐解けてきた気がする
そうなると…
今までの解釈を改める必要性も否めないな
そして、今後どのような局面が起こりうるか
当面、その辺りの精査が急務となるだろう
...
「香月さん、横田さん、貴重なお話ありがとう。約束通り、今聞いた内容は、個人の胸の内にしまっておきます。いろいろ整理してみます。その上で、また…」
「はい。是非、また意見を聞かせてください」
アキラはさわやかな表情だった
「追川さん、この前、アキラに言われた言葉なんですけど…」
今度はケイコが隣のアキラ越しにこう語りかけてきた
「”真実はかけがえのないもの”…、私たちも全く同感なんですが…。もし、真実とは違うことを公にして、本当のことはずっと黙っている…。そういう行いは、真実をかけがえのないものとして生きることに反するんでしょうか…?」
横田競子は本郷麻衣と同じ今年17歳を迎える、本来なら高2の女子高生だ
自分の子供と5歳、6歳しか違わない、まだあどけない未成年の少女だよ
この仕事で、星の数ほどの人と接してきたが、今の問いかけには、胸がえぐられる衝撃を禁じ得なかった
...
「ケイコさん…、”真実”をかけがえのないものだと心に刻んで、生きることこそが尊いことなんです。それがイコール、真実を世に明らかにすることとだとは、自分は必ずしもそう思わない」
俺は迷うことなく、まず、そう断言した
「…言い換えれば、本当のことを胸の内に留めおくことひとつで、その人が”真実をかけがえのないもの”と捉えて、生きていないことにはならない…。これは、大衆週刊誌の取材記者をずっと続けてきた立場を離れた、俺個人の信念です…」
「…」
やや強い南風に髪をそよがせている二人は、無言で俺に視線を送るだけだった
4つの瞳は穏やかで、澄んでいたよ
気が付くと、ケイコがアキラの手を握り、アキラもその手を握り返している
この二人に無責任なことは言えない
まして、うかつに聞けない
だが、これ以上のことを口に出来ないオレは、無力感を感じていたよ
それは、何とも表現しがたい、持っていき場のない怒りを伴っていた
追川
二人はお互い補足し合うように、話しを続けた
案の定、大半が本郷麻衣に関してだった
俺は極力、途中でこちらから質問することを避け、二人の聞き役に努めたよ
二人の表情をじっと観察しながら、それこそ、一言たりとも聞き逃さんばかりに集中して…
...
二人はおよそ30分ちょっと、本郷麻衣と自分たちのこれまでを軸に話してくれた
本郷麻衣がなぜ、17歳の少女でありながら、今の現状に至っているのか
その大きな疑問が、だいぶ紐解けてきた気がする
そうなると…
今までの解釈を改める必要性も否めないな
そして、今後どのような局面が起こりうるか
当面、その辺りの精査が急務となるだろう
...
「香月さん、横田さん、貴重なお話ありがとう。約束通り、今聞いた内容は、個人の胸の内にしまっておきます。いろいろ整理してみます。その上で、また…」
「はい。是非、また意見を聞かせてください」
アキラはさわやかな表情だった
「追川さん、この前、アキラに言われた言葉なんですけど…」
今度はケイコが隣のアキラ越しにこう語りかけてきた
「”真実はかけがえのないもの”…、私たちも全く同感なんですが…。もし、真実とは違うことを公にして、本当のことはずっと黙っている…。そういう行いは、真実をかけがえのないものとして生きることに反するんでしょうか…?」
横田競子は本郷麻衣と同じ今年17歳を迎える、本来なら高2の女子高生だ
自分の子供と5歳、6歳しか違わない、まだあどけない未成年の少女だよ
この仕事で、星の数ほどの人と接してきたが、今の問いかけには、胸がえぐられる衝撃を禁じ得なかった
...
「ケイコさん…、”真実”をかけがえのないものだと心に刻んで、生きることこそが尊いことなんです。それがイコール、真実を世に明らかにすることとだとは、自分は必ずしもそう思わない」
俺は迷うことなく、まず、そう断言した
「…言い換えれば、本当のことを胸の内に留めおくことひとつで、その人が”真実をかけがえのないもの”と捉えて、生きていないことにはならない…。これは、大衆週刊誌の取材記者をずっと続けてきた立場を離れた、俺個人の信念です…」
「…」
やや強い南風に髪をそよがせている二人は、無言で俺に視線を送るだけだった
4つの瞳は穏やかで、澄んでいたよ
気が付くと、ケイコがアキラの手を握り、アキラもその手を握り返している
この二人に無責任なことは言えない
まして、うかつに聞けない
だが、これ以上のことを口に出来ないオレは、無力感を感じていたよ
それは、何とも表現しがたい、持っていき場のない怒りを伴っていた