ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
ざわめき/その5
砂垣



ルーカスでルーレットに勤しんでいると、後ろから女の声だ

「砂垣さん、しばらく」

真樹子!

コイツ…、何てきれいになりやがったんだ

まず、このセリフが頭に浮かんだよ

間近かで岩本真樹子を見るのは、”あれ”以来か…


...



「ああ、真樹子、随分と変わったな。はは、ホントしばらくだったから…」

「ふふ、砂垣さんは変わらないわね。あのね、コレをあなたに手渡そうと思って」

そう言うと、真樹子は手に持った白い封筒を差し出したよ

「なんだ、これ?」

宛名は”岩本真樹子様”となっているし、差出人は…

あれ…?

裏にも表にも書かれていないや

まあ、消印はあるから、真樹子の自宅に届いた郵便物には違いないな

「これ、お前宛じゃねえか。なんで俺に渡すんだよ?」

「中に一回り小さい封筒が入ってるわ。出してみて」

そう言えば、白い封筒は開封されてたわ

俺はその封筒の中を覗き込んだ


..



「ああ、たしかに茶封筒があるな」

「それ、あなた宛ての手紙なのよ。それも差出人は非明記だけでど。もちろん、中は開けてないから。とにかくあなた宛てなんで、お渡しするわ。じゃあ…」

「おい、真樹子、ちょっと待てよ…」

俺は、足早に振り返った真樹子の肩を掴んで、引き留めた

「…砂垣さん、昔のよしみで言っといてあげる。もうそろそろ、考え改めないと、ヤバいわよ。かなり…。言ってる意味は分かると思うわ」

「はは、真樹子、俺のこと心配してくれてるのか。嬉しいねえ。どうだ、メシでも驕らせてくれねえか?積る話もあるしよ…」

「私、これからベッツに出勤なのよね。奥さんから店、頼まれててさ。あなたとの話は、そこでなら可よ。当然、お客として来てくれればだけど」

「…」

あの店って、黒原さんの…


...



「今日もたぶん、”みんな”顔を揃えるわ。私の彼も含めてね…。どう?」

「ああ、また今度にするわ。はは…」

「相変わらずハンパなのね、あなたって人…。こっちはいつでも歓迎だから、度胸があったらどうぞ。ああ、たまに麻衣さんも顔だしてるわよ、最近は。そのうち、ダーリンも連れて行くって言ってたし…」

はあ?

麻衣のダーリンって、あの撲殺男だろーが!

このズベめ、オレを挑発してやがる…

「真樹子、俺は俺の道を疾走してるんだ。今、最大に加速してる最中だよ。まあ、最後までみてろや。ああ、この手紙はまあ、受け取っとくよ。ラブレターかも知れないしな、ハハハ」

「…」

俺は真樹子の肩を突っかけて、先にルーカスを出た

見てろ!

年内にはひっくり返してやるからよう…





< 187 / 224 >

この作品をシェア

pagetop