ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
ざわめき/その6
砂垣



ルーカスの駐車場に停めてある愛車の中で、その茶封筒を開けてみたんだが…

中には、ノートのきれっぱしが1枚だけだった

「なんだよ、これ…」

”××町2-11-9 大黒病院101号室”

書かれていたのはこれだけだったよ

どう見ても女の字体で、ご丁寧に部屋番号の数字だけ、ピンクのマーカーがされてて…

差出人はこれも明記されていなかったから、誰からかは分からんが…

ひょっとして、ホントにデートの誘いか?

まさかなあ…、はは…

第一、何で真樹子に一回送ってんだよ

さっぱりだ

まあ、とにかく行ってみりゃ、わかる

まだ4時だし、面会とかなら今からでも大丈夫だろう


...



××町っていうと、ここから車で15分ってとこか

それにしても大黒病院って行ったことはないが、確か小っちゃい個人病院だよな

で、ほとんどやってんだかやってないんだかって規模じゃないかな


...



着いた…

いやあ、予想以上に寂れてんじゃん

ケガか病気だかは知らんが、こんな場末のボロ病院じゃ、余計具合悪くなっちまいそうだぜ

狭い駐車場には1台も車が止まっていないし

俺は茶封筒を持って車を降り、入口玄関に向かった

ほこりだらけの、ふた昔前かよって年季もんの開き扉を引いて中へ入ると…

うす暗い廊下の脇に一応、受付があるわ

「すいませーん」

小窓からは人が見えないので、声かけると、しばらくし中年らしき女の人の声がかえってきた

「なんですかー?」

は?

愛想ゼロのそんな受け答えだけで、しばらく待ってもこっちに出てきやしねえや

どうなってるんだ!

なんなんだよ、この病院は…





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