ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
ざわめき/その8
砂垣



指か!

小指以外を除いて左手が包帯でぐるぐる巻きで、”それ”は吊るされていた

なんか嫌な予感がしてきたな…

これから先を聞くのが怖いよ

「あの…、ケガですか?アツシさん…」

「うん、チェーンソーで指を切断されて…、組に…」

俺は瞬時で、背中から汗がどっと噴き出た…

「でも、静岡の親分さんのご慈悲で、すぐここに運んでもらって…。手術して…」

「えー?くっついたんですか、小指…」

俺は改めて、彼の太い左腕の先端に目をやった

おお…、どうやら指、ありそうだ!


...



「まだ絶対安静で何ともらしいんだけど、ここの病院、そういうのよく請け負うらしいんだ。その筋の人たちが利用するみたいでさ…」

アツシは見るも痛々しく、元気はないが、しっかりした口調ではある

「それで、何で?そんな目に遭わされた理由はなんです…」

まあ、ここに誘導してきた窓口が真樹子とくりゃ、だいたいは察っしてってとこだけど…

クソッ!


...



「あのよう、さすがに細かくはここでは離せないんだ。そこのティッシュの下に紙があるから…」

「ああ、そこですね…」

「中に伝えたいことを書いてある。まず読んでくれ」

俺は手にしたその紙、正確にはレポート用紙に目を通した

片手のこんな状態で書き留めたものだけに、さすがに字はかなり乱れていた

これは…!

「あの、アツシさん…」

「…、捕捉があるから、ちょっと枕元に来てくれるか」

どうやら耳打ちで”補足”とやらを話してくれるようだ

それは約2分程度だったろうか…

俺はアツシからの耳打ちを聞いて戦慄した

彼のその補足は制裁を受けたいきさつと、その場での詳細だった

いや、他にもあった

まあ、”それ”はいい、とりあえず…


...



なにしろ、その現場に麻衣の野郎が、立ち会っていたということだよ

しかも、アツシの今の話じゃ、裁きの進行役は17歳のあの女だと!

この手の進行役は、言わば拷問人の役割に相当する

なんでも麻衣の奴、理詰めでねちねちと追いこんできて、最後はあのイカレた小娘が自らチェーンソー片手に、”ミンチにして出血死させてやる!”と叫んだってんだ…

狂ってるって…、絶対!




< 190 / 224 >

この作品をシェア

pagetop