ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
ざわめき/その14
砂垣



いた!

見つけたぞ、横田競子を…

やっぱ、ここでバイトしてたんだな

よし…、帰りまでに”接触”を図ろう


...



「…砂さん、次行くぞ。いいか?」

「ああ、頼む」

「さっきのバグジー導入もそうだが、今回の星流会よう…、対相和会ではかなり強硬に出る方針のようなんだ。今日の金城さんからは、その辺がヒシヒシと伝わってきたよ」

「大場、それは具体的に何らかの攻め手をもって、星流会側から仕掛けるということなのか?」

大場はフォークで刺したチキンカツを口に運ぶのを止め、水を飲んでから、正面の俺に顔を近づけて話してきた

「あのさ、星流会の後ろもよう、相当気張ってるらしいんだよ。先般の東西広域、相和会との3者合意で、埼玉北部を根城に関西が新参をおいただろ。一方、相和会の南は星流会だ。合意の水面下じゃ、もう早々と、関東と関西の張り合いになっちゃってる側面もあるみたいでよう」

そういうことか…


...



「…一方の相和会サイドでは、実質ナンバー2の剣崎さんが、静岡の明石田組につきっきりなんだそうだ。連日、二人で関西の連中と折衝してるとか…。相和会は今後、親関西にシフトを描いてるって、業界じゃもっぱらだって。金城さん、苦虫噛んだような顔してさ、そう言ってたわ」

「大場…、単に相和会の北を持った関西に、関東のバック背負った星流会が競うとしてだ、実際の手立てだよ。それ、俺ら愚連隊系をおっぺして、ガキ同士の対立を突破口にする以外、なにがあんだってこと。そのあたり、トップの諸星さんからは今いちはっきりしねえし…。どうだ、今日の様子だと…?」

「それがよう、こっちの後ろの関東直系、東龍会か…。そこが他の直系とも協調して、本気で相和会に向き合う流れらしいんだよ」

「だからー、具体的にはってことだよ。それ、わかるのか、お前?」

俺は少々イラついてきたよ

そしたらさ、大場のヤツ、ニヤけて答えたわ

「今日、聞いたんだ。例の相和会2代目失脚騒動の裏ネタで攻めてくってな。まあ、今んとこオフレコだぞって釘刺されたが、ニヤっとしてたよ、あの人(苦笑)。すでにいくつも材料を仕込んでるらしいし、更に新たなアテがでてきたとかって…。ここにきてさ…」

俺は、その後の大場の話を聞いて、少々驚いた


...



「…そうか、建田さんとこにいたチンピラが保釈で出てくるのか…。なんでも、”別件”で自首して、クスリの件では建田組を破滅させる証言をしたヤツなんだよな…」

「うん。昨日、刑務所から出てきたってことだ。当然、所在の落ち着き先は探り入れてると思う。でもさあ、こうとなれば、相和会側に消されることもあるだろう?」

「うーん、そうだな…」

ここで、ひと通りの判断材料は整ったってことになるかな

今の星流会、更にその後ろ盾である関東直系組織が本気で相和会に例の”関連ネタ”を武器にってことでってことなら、今俺が握っている”情報”は決定的な威力を発揮する

これは間違いないよ

いっそ、諸星さんに進呈すれば、彼らは一気に攻勢に回れるかもしれない

しかしだ…


...



俺はほぼ100%、殺される

西城アツシを超える壮絶なリンチの末…

冗談じゃねえぜ…、そんなのまっぴらゴメンだ
って‼

極道でもないのに、そんな死に方出来るかっての!

とりあえず、星流会には告げずにおこう…

今日の夜、エリカという女に会えば、また何か新しいことがわかるかもしれない

それからだ…

ここはなにしろ慎重を要するぞ、うん…






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