ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
ざわめき/その21
砂垣



「それと、アツシがあなたのことは、何もしゃべらなかったとか何とかね…、それもまるでつくり話。あの人、全部吐いたわ。すべて残さず」

「…」

あああ…

もうダメじゃん、それじゃ

ひょっとしたら、今日で俺の人生終了かもしれない…


...



「なんか、汗、拭いてもキリないわね。まあ、好きなだけ流せばいいわ。ええと…、だけど、ホントのことも言わないといけないか」

麻衣は水割りを作りながら、さらっとした表情で続けた

「指5本分の話、あれはそっくりそのまんまよ。私は、はじめから最後まで、ノーカットでしっかり見てた。アツシの自白を迫った進行役も私が不慣れながらね…」

「じゃあ、アツシにこの店に行くようにってのも…」

「そうよ。真樹子さんを迂回したあのメモの字も私よ。かわいい字だったでしょ?」

これはヤバい

麻衣に追い込まれてる…

カウンターの客と両脇のホステス二人はどうなんだ?

普通に楽しく会話してるが…

麻衣の手の者じゃないのか


...



「ハハハ…、砂ちゃん、とりあえず言っとくよ。今日ここで、いきなり撲殺人が出てきて、何か危害を加えたりはないわ。この店の人も何も知らない。ふふ、ちょっと安心したでしょ?」

当たり前だよ…

でも、良かった、それだけでも聞けて

ふう…、生きた心地がしなかったわ

だけど、なら、ここに呼びだして俺に何を…


...



「よく聞いて。あなたがアツシから知り得たこと、これをあなたが他に漏らせば、もちろん殺されるわ。そりゃあ、まずいもの。でも、砂ちゃんがずっと胸にしまっとければ、それでいいのよ。じゃあここで確認ね。絶対、口外はしないって約束できる?」

「その前に、俺がすでにしゃべっていたらどうすんだよ?」

「あなたがまだおしゃべりしていないのは、確かめなくてもわかるわよ、私には。砂ちゃんが自分の欲望に忠実な現代人だって承知してるから。さあ、どうなのよ?生涯、チンコロしないって誓えるの!」

そう凄む麻衣はすでに俺を圧倒してる

つくづく恐ろしいガキだ

天然記念物に推薦したいくらいだよ…






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