ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
ざわめき/その23
砂垣



「どう?OKなの?」

「ああ、お前の考えは伝わったしな。線引きは俺の解釈でいいなら、やってみる」

「よかったわ。あのさ、正直言うと、あなたがいないと寂しいのよ」

それ、来たぞ…

コイツには最後まで油断できたもんじゃない

何かまた仕掛けてくるかもしれないんだ

用心だ、ここは用心だ…


...



「去年の再編劇だって、砂ちゃん、随分と盛り上げてくれたじゃない。今回もあなたが戻ってきてくれて、刺激的な局面になってきたわ。だからさ、あなたは消されて欲しくないのよ。本心は」

コイツ、もう体ぴったりつけてきて、恐えーよ

次は何なんだよ!

「はは、そんな怖がんないでよ。私はね…、あなたのこと、ある意味評価してるわ。紅丸さんには、さんざんコテンパンにのされても、何度もゾンビみたいに舞い戻ってきてさ。そもそも、やくざモンと不良や族のガキ連中の、中間層の開拓者よ、あなた。愚連隊やハングレだとか、ガキより一段上に立てて威張り散らせるし、やくざもんの威光も使える。でも、いざって時は、その筋じゃないからその世界のルールははずれる。賢いわよ。アツシなんかとは違うわ」

麻衣の奴、一転、褒め殺しに出てきやがったか…


...


「ふふっ…、なにもないわよ、今日はもう。ただのお話だから。とにかく、そういう才能はあるってことよ、あなたにはさ。諸星の顔デカも、そこのところをよく承知してるから、あなたをずっと囲ってるのよ。ハンパもんなりに性根が入ってるってとこで。私にしても、そんな砂ちゃんは使えるからさ。なるべくなら殺されないでね」

結局、こんな話を30分ほどした後、俺は”解放”されたよ

こうなったら、今度は星流会の動きを常にチェックしておかないとな

”バグジー”も送り込んできたことだし、俺がセーブ利かさないと、早速、麻衣からレッドカードを食らうぞ

よし、明日にでも、諸星さんと直接会ってこよう

向こうの事情をもっとよく確認してくるぞ


...


それと、帰り際の麻衣からの一言だよな

「あとさ、アツシが私たちからの通告以外にも、自分の意思であなたに話したことがあるかもしれないけど…。別に聞かないわ。でも、今日の取り決めをひっくり返すようなことにならないように、くれぐれもね」

全く、どこまでも恐ろしいヤツだよ

アツシから横田競子の名が出たことなど言えようか

ましてや、アツシに麻衣を潰す意思がまだあるなんて

たとえ麻衣が、それを察していたとしても…





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