ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
ざわめき/その24
ケイコ



今日はすき焼きだ!

アキラは7時過ぎには帰ってきてね

今、二人は向かいあって、鍋突き合ってる

楽しくてうれしくて、充実してる…

要は今の瞬間でいえば、間違いなく幸せなんだろう


...



そうか…

アキラ、伊豆のホテルで剣崎さんとばったりだったらしい

「…久しぶりって挨拶もそこそこで、いきなりだったんだ…。ちょっとあっけにとられたよ」

剣崎さんはアキラと会った初っ端に、私たちの監視はあれから一切やってないと告げてきたそうだ

「あの人、サングラスはずして格好もオフってことで普通だったけど、”それ”話してる時の目は、”いつもの”あの人の目だったよ…」

「たぶん剣崎さんは、”こっちは約束守ってる。そっちも大丈夫だよな?”とかって、メッセージを投げてたんじゃないかな」

私がそう言うと、アキラはハシを一旦置き、小さく頷いてから話したわ


...



「オレもそう思った。その時の俺の表情、どう受け止められたかな。何しろ、咄嗟だったから…」

剣崎さんは剃刀のようにキレる人だ

アキラの微妙な反応とかは見逃さなかっただろう

「一応、また監視されるかもしれないって、留意していた方がいいかもね」

「うん…」

「はは、別に私たち約束破ってないし。でも、よかった。バンドの人たち、みんなアキラを歓迎してくれたんなら…」

ちょっと暗い雰囲気になりかけたので、私は話題を切り替えた…


...



アキラは、追川さんと3人で会った時に聞いたことが気になっているようだった

建田さんのところにいた人が保釈されたと…

その夜、布団の中で、私はアキラに問いかけた

「アキラ…、その間宮って人、私たちと一緒の証言を警察にしてるんだよね?」

「うん。間違いないよ」

二人はお互い仰向けに並んで、電気の消えた天井に語りかけるように会話をしている


...



「そしたらウソついてることになるから、そのことを聞き出そうという人たちがいたら…」

「ケイコちゃんの想像してる通りになるかもね」

「余計な心配させちゃうかも知れないけど、私、今3通り考えていたんだ…」

「ああ、そうなるよな。そのうちのひとつが、オレ達も当事者になり得る。そうだろう?」

その後、二人は口を開かなかった

そして、自然と二人は体を寄せあっていた





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