ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
美しき毒、さらに…/その7
麻衣



私は、内密だよと念押ししてから、祥子には差し障りない程度で倉橋さんとのことを話した

「…いやあ、驚いたのなんのって。まあ、何しろおめでとう、麻衣」

「ふふ、そう言われると照れるなあ。うん、あんがと。それで、このこともあるけど、他にもいろいろ出てくる予感がするわけよ、私の行いの波及ってのがさ。それで、みんなに迷惑かけることになりかねないんで、今のうちからね…。それと、おけいとは”ある事情”があってさ、ヤツから絶縁されてるんだ」

「なんかあったってことは耳にしてたけど、そこまで険悪だったのか…」

「言ってみりゃ、私が悪いんだ。ただ、どうしてもけしかけたくなっちゃうんだよ、おけいには。理由はわかんないけど、カッカと燃えさせてくれるんだ、アイツ。そんで、この夏、やりすぎちゃった…」

「そう言う訳か。その結果がムショ行きにつながってるってことなんだな?」

祥子はけっこう神妙な表情してくれてる


...


そうだよ、1年前の夏、ここでおけいと私が壮絶な死闘を遂げた際、この祥子はその現場にいたんだし

南玉のみんなだって、私達二人の徹底的加減は十分知ってるしな

「でも、結構ドロドロもあって。相和会ももろ絡んでてね。私が原因なのは間違いない」

今日はどうも、かなり勢いがついて話しまくってるよ、私

さすがにおけいの”恋人”にまでは触れなかったが…


...


「…だからさ、多美じゃおけいに近すぎるし、祥子にしか頼めないんだ。あんたは竹を割った性格でフェアだし。そう言う訳でね」

各校部隊の方でおけいについていた多美とは、私、最初から相性が悪くってね

一方、走りの部隊で私側にいた祥子は、おけいとは、まあ手が合う仲だった

祥子と私も、初対面でガチンコのタイマンをやってのけた以降は、お互い認め合ういい関係になってた

「麻衣、この件は了解した。でもさ、気を付けてくれよ。お前にはいつまでもそうやってさ、ギラギラしててもらいたいからよう」

「ありがとう。私もさんざんトラブルメーカーで、ひっちゃかめっちゃかでやらかしてきた問題児だよ。それは自覚してる。だから説得力ないけどさ、紅丸さんが構築してくれた、女が生き生きと堂々と輝ける土壌は枯らしたくなんだ」

祥子はゆっくり首を縦におろした

”そうだ!”って…

そう言ってるみたいだったよ

「おけいや私らの件に便乗して、それをぶっ壊そうとする連中が出てきたら、その時はみんなで団結して阻止して欲しいんだ。祥子、これはお願いだ。好き勝手に引っ掻き回した私から言うのも筋が通らないのは承知の上で、あえてなんだよ」

ここでも私は感情をこめて、”お願い”していた

「お前の言葉、しっかり受け止めたから安心しろ」

祥子はこぶしを握って力強く断言してくれた

嬉しかった…






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