ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
美しき毒、さらに…/その15
追川


ここ数日でわかり得たことを整理してみた

その結果、浮かび上がってきたのは、本郷麻衣の”輪郭”だった

今回、俺は相和会そして本郷麻衣には直接切り込むことを避けた

しかし、ちょうど例の週刊誌で記事が世に出たタイミングもあってか、欲しい情報が比較的容易くキャッチできたと…

まずは関東の広域傘下で、相和会とは”いろいろ”あった星流会が、すでに麻衣に近づいているようだ

星流会は会長の諸星がもともと愚連隊系の組織を統括して、ガキの勢力にも何かと関与していた

ガキどものつなぎ役に使っていたのが、ガキと愚連隊双方の顔役的ポジションにあったとされる、砂垣順二だ!

砂垣は、去年勃発した都県境の女性勢力を軸とした再編騒動でも深くかかわり、麻衣とはかなり濃密に接触していたことが判明している

そのあたりをひも解いて明らかになったことは、相馬は星流会のガキたちへの影響力に、本郷麻衣をバックアップすることによってちょっかいを出した形跡があるということだ


...



その麻衣は、相馬の想像をはるかに上回る力量を発揮し、高校1年生ながら再編劇の中心人物の役割を果たした

更にもう一人、同じく当時高1の横田競子もその渦中に身を投じ、麻衣との衝突を通して、彼女もまた相馬の庇護を受けることになる

ここで今回警察沙汰になった薬物の存在が見え隠れるする

警察の調べでは、その薬物は、麻衣と競子がともに香月アキラと知り合ったことで嗜んだということらしいのだが…

しかし、どうやら麻衣は相馬から直接クスリを勧められた可能性も出てきた

星流会やその影響下の愚連隊連中の周辺を当たった結果、そのネタがかなり聞けた

どうやら相馬が死んで、砂垣をいいように使い潰した、相馬の遠縁の娘という振れこみの麻衣には、改めて注目したようだ

そして麻衣を調べたと…

俺が複数のルートから聞きこんだ話では、実は相馬と麻衣には血のつながりなどないということだった!


...



麻衣が相和会に”お嬢さん”として現れたのは、相馬から後ろ盾の取り付けをもらった直後になる

これは相馬の息子、相馬定男が自殺した時期に重なる…

ところが、その気性は相馬とそっくりで、相和会を使った手並みには幹部クラスも唸っていたという

結果、誰もがその血縁を疑わなかったと!

敵対関係の星流会側からすれば、血のつながりがなく若干16才にして、やくざ顔まけの采配を平然と駆使できる度量は、極めて興味深いと言うことになる

一方、広域組織サイドは、相馬亡き後の矢島3代目体制とはどう向き合うか、関東、関西双方でまだはっきりした方針を決めかねているようだ





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