ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
トライアングル模様/その4
ケイコ



大阪に向かったあの晩…、アキラは拉致された

椅子に縛り付けられて暴行を受け、朝まで監禁された

その間、クスリを打たれ、私を想う心につけ込んだ”奴ら”から、犯罪者になることを同意させられた

当然、オーディションにも行けず、プロデビューの道も閉ざされた

しかも!

アキラのギターは麻衣に破壊されたんだ‼

コンクリートの床に何度も何度も叩きつけられて、粉々に…

あのギターは、一時とは言え好きだったギターの先生と一緒に選んだ大切なものなんだ!

なんて、ひどいことをしたんだよ‼

なんてひどい目に遭ったんだよ、アキラは…

その後、私たちは引き離されたまま、あいつらのシナリオに沿わされ、警察へ…

麻衣の野郎はクスリの発作にかこつけて、病院の個室で豪勢にリハビリだってのに‼

私はまたもや、麻衣に対して殺意も厭わないほどの激しい怒りと憎しみで、体が溶解しそうだったって!


...


「…なにも家を出て、ここに来てくれた翌朝に言わなくていいことだろうが、もう君とは変に遠慮し合いたくないって気持ちに達してる…。でも…、また麻衣のことなんか思い出させてしまって、すまない…」

アキラ…

「今度アキラが買うギターは、私がバイトで稼いだお金を持って、二人で選びたい。そうさせて。お願い!」

私は結構大きい声で、アキラの顔を見つめてそう言った

それは、いわば懇願と宣誓がごちゃまぜのようなものだった

「じゃあ、そういうことで頼むよ。…いやあ、楽しみだなー」

アキラは歯切れよくそう答えてくれた

そして、私の大好きな清々しい笑顔を惜しみなく見せてくれた

麻衣なんかに負けてたまるか‼

あんな奴には、もう私たちを邪魔させないんだから!

私は本郷麻衣への怒りと憎悪を、何とかそんな気持ちに切り替えていた





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