ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
トライアングル模様/その6
ケイコ



いけねー、美咲からここに電話かかってくること、まだ言ってなかったわ

アキラ、びっくりしちゃってるし

「いえ、こちらこそ…、こんな状況でなんですが、初めまして…」

ああ、とりあえず挨拶を交わしてる様子だ…

「…、じゃあ、今お姉さんに代わりますからね。…、ケイコちゃん、妹さんからだ。公衆電話みたいだよ」

そう言って、アキラは受話器に手を当てながら、私を呼んでくれてる

「ああ、ごめん。妹には連絡するように言ってたんだ」

「うん、さあ…」

「ありがとう」

受話器を受け取った私は、心が高鳴っていた

唯一、家族で私たちの味方になってくれてる美咲…

中3の妹がなんと心強く感じたことか…


...



「もしもし…、美咲?こんな雨の中、さっそく電話してくれてすまない。今、公衆電話?ボックスの中なの?濡れてたないの、大丈夫…?」

思わずマシンガンのように聞きまくってるわ、私

「うん、学校の前の電話ボックスからかけてるから、濡れてないよ」

「そうか…。ああ、お父さんとお母さん、どんな様子かな?聞くの、ちょっと怖いんだけど…」

「まあ、二人ともショック受けてるのは明らかだけど、私の前では普通だよ。たぶん、少ししたら私がお姉ちゃんの居場所とか知ってるか聞いてくると思うから。だから、お姉ちゃんはアキラさんと二人のこれからのこと、考えればいいと思う」

「わかった。美咲…、ありがとうな。それで、さっそくなんだけど頼みたいんだ。昨日は急だったから、着替えとかもあまり持てなくて…。今から言うもの、いいかな。受け取りの方法も決めておきたいんだ…」

私は美咲に荷物の持ち出しを頼んで、取り急ぎ、最初に会う段取りを打ち合わせした


...



美咲との電話を切って、さあ、アキラに美咲のこと、いろいろ報告しなきゃ

「アキラ、驚かせてごめんね。美咲にはここの住所と電話番号をさ…」

アキラはOKって感じで頷いてる

「それでさ、アキラにも妹とは会って欲しいんだ。会っていい人なら私達のこと応援してくれるって言ってるから、美咲。アキラはいい人に決まってるけど…」

「そう、いい妹さんだね、美咲ちゃんは。ぜひお会いするよ」

決まった…

昨日の台風が確実に去っていくように、私たち二人も確実に前に進んでる

そんな感じがしたよ






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