ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
凄絶!麻衣ロード/その16
麻衣




まず、真樹子さんには、倉橋さんとのことを告げたわ

「え~‼本当にー⁉」

電話口ででっかい声をあげて真樹子さん、びっくり仰天だったわ

「そうか…、そうなんだ。う~ん…、いやあ…」

なんか、ここまでのリアクションというのもね…(苦笑)


...



「まだ、祥子にしか言ってないし、相和会もしばらくは伏せとく方針らしいから。まあ、あんこう先輩には話しておくけど、当面、誰にも言わないでね」

「わかったわ。ふふ‥、でもさ、麻衣さん達、お似合いかもね。幸せになってね」

幸せか…


...



「ありがとう。でさ、さっそくなんだけど…」

私はついさっきのドッグスとのやり取りの他、直近の事情を概ね報告したわ

「そう…、南玉内部がそんなドタバタの有様じゃあ、排赤一派に付け込まれるか…。祥子も苦労してるんだろうね…」

「真樹子さん、実際、墨東会の方はどんな感触ですかね?」

「正直、私が出て行った経緯もあって、風当たりは今でも強いわ。積田さんと私の関係を警戒してる向きもあるし…」

真樹子さんには感謝してる

やっと積田さんみたいな人と恋仲になれたんだ

その愛おしい人を、駆け引きに利用するような誤解を与えかねない私の頼み…

この人は、あえて引き受けてくれた

砂垣順二へのリベンジ?

それもあるだろう

さんざんもてあそばれたんだし、あの砂野郎には

でも、この都県境をそんな物欲の沼底には沈めたくない

真樹子さんにだって、そういったピュアな気持ちは絶対あると思う…


...



猛る女達が、これほどまでに奔放にやりあえた、このホットスポット…

”赤い狂犬”合田荒子さんは、それを広く外にも波及していこうと、純真に突き進もうとした

で…!

みんなが、それぞれの信念を熱くぶつけ合い、結果、1年前の再編に辿りついた

私はその中心にいた

横田競子を巻き込んで…

それはやくざをバックにつけて、決してフェアなものではなかったが…


...


それから1年…

私とおけいは”一抜け”した

だけどさ、私たち二人は紅子さんが構築したこのホットスポットを愛してる

排赤の勢力にその魂を搾取される訳にはいかないんだっての!

まずはそこだ

その後で、思う存分、やりあえばいい

これまでのおけいと私のように…


...



「…でも、麻衣さん、積田さんは砂垣との絶縁宣言を決意してくれたわ」

「本当ですか‼」

私は思わず受話器を両手で握りしめ、大きく叫んだ







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