ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
この愛を一歩、一歩/その7
追川



オレは香月アキラからの意見を頭の中で整理した

本郷麻衣はこの二人が言うように、自らを危険にさらす結果に至ろうが、思いのままに行動する

ただし今現在の麻衣には、香月アキラと横田競子の二人まで危険にさらすことは避けるという自制心が伴っている

長年のカンで、そう確信が持てた

「アキラさん、本郷麻衣の行動は、連中を刺激することにはなるだろうが、それでも、麻衣に危害を加えるまではいかないと思う。ただし、例のクスリの件で、相和会側にとって深刻な”不都合”が生じた場合は、先ほど言った”例外事由”に当たるとね…」

「…」

彼は黙ったままだった


...


よし、その何故かをこっちから言おう

「実は…、まだ真偽のほどは微妙なんだが、旧建田組から何人か脱退したようなんだ…」

「建田さんとこの組員がですか!」

ここで香月は反応を示したが、明らかに今までより声の大きさもトーンも上がっていた

”これ”は、何を物語っているのか

過剰反応…



...



「それで、何人抜けたんですか?まさか…、敵対勢力のもとで新しい組を立ち上げるとか、そんな動きになってるんですか!」

「香月さん、落ち着いてください。まだ、はっきりとはわからない段階なんですよ、私も。しかし、この時期にそのような動きが事実あったとしたら…」

「どういうことになるんです⁉」

穏やかな香月がここまで取り乱すなら、やはり…

「香月さん…、関西と関東はね、相和会に対しては共同歩調を取っているようだ。もしそういう舞台裏なら、建田んとこの残党はどっちかの系列化で独立するでしょうな。すなわち、相和会への反旗を後押しされたということに他ならない。問題は離脱者たちから、相和会にダメージを与える”ネタ”がバックに流れた場合ですよ、香月さん!」

俺は敢えて、彼を挑発してみた

さあ、ここでの香月の反応が重要だ

見誤れば、彼らの身を危険に陥れることになるんだ…

俺はこの時ばかりは、長きにわたるブン屋のカンが外れることを願っていた





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