筒井くんと眠る夜 〜年下ワンコ系男子は御曹司への嫉妬を隠さない〜
筒井くんがうちに来て、しなかった日が無いわけじゃない。
でもそれは私が遅くまで残業してきた日と私の身体ができない日だけ。
そんな日は決まってホットワインを作ってくれる。
「いつ寝ようが俺の勝手だろ」
それはそうだけど。
筒井くんが家にいるのに一人でテレビを見てるのなんて初めて。たまらなくモヤモヤして落ち着かない。
「私も寝る」
一人の時間に耐えられなくて、いつもより早くベッドに潜り込んだ。彼は背中を向けてるから寝ているのか起きているのかわからないけど、とにかく私と話す気は無さそう。
あの時セフレって言ったのは筒井くんだよ。
私たちは恋人同士じゃないでしょ?
割り切った関係、それが私たち。
なのに筒井くんの背中を見てると胸がギュ……って嫌な音を立てる。

「ふぅ……」
もう深夜になってしまったけど、眠れなくて小さな溜息をついた。
「……眠れないの?」
背中を向けたままの筒井くんが、私の小さな気配に気づいてくれた。
「うん」
「しょうがないなぁ」
彼は「やれやれ」って感じで溜息をつくと、私の方に向き直して瞳をみつめた。
暗闇に慣れている目はお互いの潤みのある瞳を簡単に見つける。
「俺に抱かれなきゃ眠れない人が恋人なんて作れるのかな」
嫌味っぽい。でも優しいって知ってる。
「今は恋人なんていないもの。私には筒井くんしかいないよ」
「案外狡いな、小夜ちゃん」
筒井くんはまた溜息をつくと、私の頬に触れて、瞼から全身に口づけをして、いつもみたいに私を抱いてくれた。

今は筒井くんがいなくちゃ眠れないけど、他に好きになれる人ができたらその人と眠れるって信じてる。

筒井くんの言った通り狡い女だね、東条小夜子は。
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