筒井くんと眠る夜 〜年下ワンコ系男子は御曹司への嫉妬を隠さない〜
「小夜ちゃん」
髪を乾かしてバスルームから出ると、落ち込んだ表情の筒井くんが私を抱きしめた。
「今日、ほんとは小夜ちゃんが帰ってきたら思いっきり甘やかすつもりだったんだ」
心なしか泣きそうな声。
「なのにガキみたいな態度とっちゃってゴメン」
私はつい、クスッと笑う。
「あんまりかわいいこと言わないで」
背中の腕にきゅっと力を入れて抱きしめ返して、耳元で囁く。
「離れたくなくなっちゃうじゃない」
「……小夜ちゃんて、狡くて残酷なんだ」
筒井くんは私の言葉が今この瞬間と近い未来を意味してるってすぐに気づく。
賢い子なんだよ、君は。
こんな関係は筒井くんのためにもやめなきゃいけない。
そう思ってるって、筒井くんだってわかってるはずなのに私を抱き上げて強引に寝室に運ぶ。
「小夜ちゃんは俺のだよ」
「違うよ。百歩譲って誰かのものだって言うなら、今の私は父のものか斑目さんのものよ」
「意地悪」
抱かれている瞬間と一緒に眠っている間くらいは筒井くんのものって言っても良いかもしれないけどね。
***
「東条さん、あのさ」
音石常務との2回目の食事の帰り道だった。
「もうわかってるとは思うんだけど……良かったら、俺と付き合って欲しいんだ。できれば結婚前提で」
とても真剣な眼差し。
「前からいいなって思ってたんだ。仕事に一生懸命だし、気配り上手だし、かわいくて品があるし。ダメかな?」
「ダメなんて言うヒト、いないと思います」
私がニコッと笑うと、音石常務改め理一郎さんは私をそっと抱きしめた。フワッと男性的な香水の匂いが漂って、筒井くんとは違う大人の男性なんだって意識してしまう。それから理一郎さんは、優しく紳士的に唇を重ねた。
この人となら、きちんとした交際ときちんとした結婚ができると思う。真剣だってわかればきっと父だって認めてくれる。
正式にお付き合いすることになったのは喜ばしいけど、食事に行っただけであんなに不機嫌になってた大きなワンコにどう伝えるかが問題だ。
髪を乾かしてバスルームから出ると、落ち込んだ表情の筒井くんが私を抱きしめた。
「今日、ほんとは小夜ちゃんが帰ってきたら思いっきり甘やかすつもりだったんだ」
心なしか泣きそうな声。
「なのにガキみたいな態度とっちゃってゴメン」
私はつい、クスッと笑う。
「あんまりかわいいこと言わないで」
背中の腕にきゅっと力を入れて抱きしめ返して、耳元で囁く。
「離れたくなくなっちゃうじゃない」
「……小夜ちゃんて、狡くて残酷なんだ」
筒井くんは私の言葉が今この瞬間と近い未来を意味してるってすぐに気づく。
賢い子なんだよ、君は。
こんな関係は筒井くんのためにもやめなきゃいけない。
そう思ってるって、筒井くんだってわかってるはずなのに私を抱き上げて強引に寝室に運ぶ。
「小夜ちゃんは俺のだよ」
「違うよ。百歩譲って誰かのものだって言うなら、今の私は父のものか斑目さんのものよ」
「意地悪」
抱かれている瞬間と一緒に眠っている間くらいは筒井くんのものって言っても良いかもしれないけどね。
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「東条さん、あのさ」
音石常務との2回目の食事の帰り道だった。
「もうわかってるとは思うんだけど……良かったら、俺と付き合って欲しいんだ。できれば結婚前提で」
とても真剣な眼差し。
「前からいいなって思ってたんだ。仕事に一生懸命だし、気配り上手だし、かわいくて品があるし。ダメかな?」
「ダメなんて言うヒト、いないと思います」
私がニコッと笑うと、音石常務改め理一郎さんは私をそっと抱きしめた。フワッと男性的な香水の匂いが漂って、筒井くんとは違う大人の男性なんだって意識してしまう。それから理一郎さんは、優しく紳士的に唇を重ねた。
この人となら、きちんとした交際ときちんとした結婚ができると思う。真剣だってわかればきっと父だって認めてくれる。
正式にお付き合いすることになったのは喜ばしいけど、食事に行っただけであんなに不機嫌になってた大きなワンコにどう伝えるかが問題だ。