筒井くんと眠る夜 〜年下ワンコ系男子は御曹司への嫉妬を隠さない〜
くっきりとしたキスマークをつけられてしまった。
「そんなのついてたら、しばらく他の男とはできないね」
筒井くんは不敵な顔でニヤッと笑った。
「ひどい」
「ひどいのは小夜ちゃんだろ? 他の男のこと考えながら俺に抱かれて」
そんな風に言われたら何も言えない。
「じゃあ……もう終わりにして寝ようか」
私は顔を背けて、彼のまるで檻みたいな身体の下から抜け出そうとした。
「何言ってんの?」
筒井くんは私の腕を強く掴んで、また正面を向かせた。ベッドに縫いとめるみたいに押さえつけられた手首は私の力では動かせない。
「他の男のことなんか考えられないくらいめちゃくちゃにするに決まってるだろ」
腕の力より、私をみつめる瞳の力の方が強い。

翌朝、会社に行く支度をする私の全身が悲鳴をあげていた。
「おはよ」
彼はいつも通りの様子で冷蔵庫から取り出した炭酸水を飲んでいて、年下男子との体力の差を感じる。
昨日のキスマークはブラウスで隠せたので事なきを得た。
「いってらっしゃい」
玄関で筒井くんに見送られる朝。
すっかり慣れてしまったけど、これも普通じゃない風景だって今日は改めて思い出す。
「筒井くん、なんかご機嫌じゃない?」
「そお? 小夜ちゃんてまとめ髪似合うよね、かわいい」
そんなことを笑顔で言うのにご機嫌じゃない筈がない。昨夜の〝めちゃくちゃ〟にご満悦なのかな。
つい昨夜のことを思い出してしまって身体の奥がキュンとする。
「……いってきます」

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