筒井くんと眠る夜 〜年下ワンコ系男子は御曹司への嫉妬を隠さない〜
「小夜ちゃんてときどき婚約者から送られた音楽聴いてるよね」
筒井くんがこんな日に急に斑目さんの話を振るからドキッとした。
「知ってたんだ」
「見るつもり無かったけど、小夜ちゃんが寝落ちしてるときにタブレットの画面が目に入った」
私は斑目さんがくれた曲を【斑目さんが贈ってくれた曲】というなんの捻りもない名前のプレイリストにまとめている。筒井くんがいない日はそれを聴きながらベッドに入るし、普段もたまに聴いている。
「結構良い曲が多いんだもん」
「本当は気になってるんじゃないの? 婚約者のこと」
筒井くんの言葉に黙ってしまう。
「会ったこともないんでしょ? その人も気の毒だね。」
「え?」
「家が決めた相手ってだけで小夜ちゃんに避けられて。曲なんか贈っても、別の男に取られそうになっててさ」
「そんなことない……むこうだって、本当はきっと自由に恋愛したいはずよ」
「ほら、勝手に決めつけられて気の毒」
「なんで筒井くんにそんなこと言われなきゃいけないのよ…… 筒井くんて、斑目さんの味方なの? 音石さんよりも」
ムッとしてしまう。
「べつに。どっちも嫌いだよ。小夜ちゃんは誰とも正面から向き合おうとしないんだなって思っただけ」
つまらなそうに言うと、筒井くんはまた私を抱きしめた。
「誰が一番小夜ちゃんを想ってて、小夜ちゃん自身は誰が好きなのか。親の敷いたレールから逃れたいんだったら、向き合わなきゃいけないこともあるんじゃないの?」
筒井くんはわかってない。私は親の敷いたレールから逃れたいわけじゃない、そんなことできないって理解してる。だから、少しで良いから自分で選びたいだけなの。
筒井くんがこんな日に急に斑目さんの話を振るからドキッとした。
「知ってたんだ」
「見るつもり無かったけど、小夜ちゃんが寝落ちしてるときにタブレットの画面が目に入った」
私は斑目さんがくれた曲を【斑目さんが贈ってくれた曲】というなんの捻りもない名前のプレイリストにまとめている。筒井くんがいない日はそれを聴きながらベッドに入るし、普段もたまに聴いている。
「結構良い曲が多いんだもん」
「本当は気になってるんじゃないの? 婚約者のこと」
筒井くんの言葉に黙ってしまう。
「会ったこともないんでしょ? その人も気の毒だね。」
「え?」
「家が決めた相手ってだけで小夜ちゃんに避けられて。曲なんか贈っても、別の男に取られそうになっててさ」
「そんなことない……むこうだって、本当はきっと自由に恋愛したいはずよ」
「ほら、勝手に決めつけられて気の毒」
「なんで筒井くんにそんなこと言われなきゃいけないのよ…… 筒井くんて、斑目さんの味方なの? 音石さんよりも」
ムッとしてしまう。
「べつに。どっちも嫌いだよ。小夜ちゃんは誰とも正面から向き合おうとしないんだなって思っただけ」
つまらなそうに言うと、筒井くんはまた私を抱きしめた。
「誰が一番小夜ちゃんを想ってて、小夜ちゃん自身は誰が好きなのか。親の敷いたレールから逃れたいんだったら、向き合わなきゃいけないこともあるんじゃないの?」
筒井くんはわかってない。私は親の敷いたレールから逃れたいわけじゃない、そんなことできないって理解してる。だから、少しで良いから自分で選びたいだけなの。