筒井くんと眠る夜 〜年下ワンコ系男子は御曹司への嫉妬を隠さない〜
「何? なんか空気悪くない?」
でも、ちょうど良かった。
「あの……この人が私の好きな人です。この人と結婚したいと思っています」
筒井くんをはじめ、私の発言に両家の親もポカンとしている。
「あー……なるほど、そういうことか」
筒井くんが状況を察したようにつぶやく。
「小夜子さん、何を言っているんですか?」
「そうよ、小夜子」
先方も母も、なんだか不思議な顔をしている。
「だから……」

「ミヒト、わかるようにちゃんと説明してくれる?」

先方のお母様が、なぜか筒井くんに話しかけるし、なぜか名前を知っている。
私もなんだかよくわからなくらなってきて、筒井くんの顔を見た。

「はじめまして、小夜子さん。斑目民人(みひと)です」

「え……斑目?」
筒井くんが何を言っているのか、全然わからない。
でもよく見たらすごくきちんとしたスーツを着ている。
「遅れてきたのがまずかったな」
固まっている私を見て、筒井くんがまたつぶやいた。
「父さん、母さん、それに東条さん。みなさんが心配しているようなことにはならないので、小夜子さんと二人でお話しさせてもらってもいいですか?」
そう言って、筒井くん……いや、斑目ミヒトさん? は私をホテルの庭に連れ出した。

「もっといい感じに登場したかったな」
「何がどうなってるの? 筒井くんて?」
「筒井は母の旧姓」
筒井くん……民人さんは、順を追って説明してくれた。
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