この唄を君に捧ぐ(誰にも言えない秘密の恋をしました)続編

LAでの2人の生活

その日から、心菜とお腹の子の為に蓮は動き出す。

まず、事務所のスタッフに今後の活動について伝え賛同をもらう。

そして出来るだけ早く籍を入れたいと、日本大使館に行き相談をする。

戸籍謄本等の必要書類を揃える為、日本にいる親族に頼むのが手っ取り早いと聞く。

まずは心菜の兄、一心に連絡を取り心菜が見つかった事、妊娠中だと言う事、そして出来るだけ早く籍を入れたい旨を話す。

「順番が逆になってしまった事は俺の責任だと思ってる。その事については後日挨拶に伺いたい。」

蓮が兄にそう告げるから、心菜は慌ててスマホを奪い、

「お兄ちゃん。私がどうしてもって望んだの。蓮さんのせいじゃ無いからね。」
と伝える。

『出来した心菜!蓮さんの心を掴む為だな。よくやった!』
と、兄は何故か的外れな解釈をして喜んでいた。

「…独りで育てようと思って離れたんだけど…。」
心菜は本当のところを話そうとするのだが、浮かれた一心にはもはや何も聞こえてないようだ。

『お兄ちゃんが心菜の戸籍謄本取ってやるから心配するな。直ぐに書類集めてそっちに送る。』
二つ返事で協力してくれる旨を聞き電話を切る。

「蓮さん…頭を下げに行ったりしないで。お兄ちゃんだって喜んでたし、きっとおじいちゃんだって同じだと思うよ。」

心菜はこれ以上蓮に責任を背負って欲しくない。

「これは、男のけじめだから気にしなくて良い。心菜の両親の墓にも手を合わせたいし、事務所の事もあるから、近いうちに一度戻るつもりでいる。」

「…直ぐに帰って来る?」
少し寂しく感じてつい聞いてしまう。

「もちろん、3日以内に帰って来る。」
往復にすると1日以上の時間がかかるくらいの距離なのに⁉︎

「それは…さすがに無理じゃない⁉︎」

心菜はフフッと笑い、
「ごめんね、弱気な事言って。待ってるから大丈夫。」
と、伝える。

「心菜にこれ以上寂しい思いはさせられないから、出来るだけ早く帰る。
いや、俺が心菜を1人で残す事に耐えられないが正解だな。」
と、笑顔を向けて心菜を安心させる。
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