この唄を君に捧ぐ(誰にも言えない秘密の恋をしました)続編
一時帰国
妊娠6ヶ月目に入り、辛くて苦しかった悪阻も終わりを迎える。
心菜の食事量も増し、順調にお腹の子も成長している。
5月の半ばに提出した婚姻届も滞りなく受理されて、2人は晴れて夫婦になった。
心菜は病院に戻り、1週間前から新生児ICUの看護師助手として仕事をしている。
病院側の計らいで、6時間と言う短い勤務時間を無理なく働く事が出来ている。
蓮はと言うと、滞り始めた仕事を片付けに一時帰国を余儀なくされて、LAで作った新曲を携え日本に戻って行った。
「1週間、いや、5日で帰る。」
そう宣言して、仕事バック一つを持って日本に行ってしまった。
寂しさと心細さを味わいながら、心菜は1人LAの地で今日も元気に働いている。
日本は梅雨時だというのにLAの空はカラッとした快晴が、続き昼間は妊婦にとっては暑いくらいだ。
『ココ、仕事はどう?少しは慣れてきた?』
病院内の裏庭にある散歩道のベンチに腰掛けながら、1人遅いランチを食べていると、不意に後ろから声がして振り向く。
『あっ!お疲れ様です、Dr.ライアン。
覚える事は沢山ありますけど、楽しく働かせてもらっています。』
にこりと太陽の様な笑顔を向けて心菜が笑う。
その笑顔を見て、充実した日々を送っている事をライアンは一目で理解する。
『元気そうで良かった。新生児は大変だろうけどその分やり甲斐もあるし、喜びも多いから妊婦の君にはピッタリだよね。』
そう言って、ライアンは心菜のベンチの隣に座る。
あの日以来、何度かカフェにも顔を出し、蓮と小競り合いをしながらも和解したようで、2人の関係は今や友情にも似た不思議な感情で成り立っている。
『蓮は日本に戻ってるんだって?
アイツ律儀に俺に連絡よこしてきた。』
嫌そうに、だけど嬉しそうにそう言うライアンは、何が吹っ切れた様な、カラッとしたLAの空みたいな笑顔で笑う。
『蓮さん、心配症なので…何か迷惑な頼まれ事とかされませんでしたか?』
心菜は心配になってライアンに問う。
なんせ、最近の蓮は過剰に心菜を心配し、買い物に行くにもカバン一つ持たせてはくれず、階段を少しでも登るようならば、抱き抱えるかの如く介助してくるから困ってしまう。
『妊娠は病気では無いのだから、そんなに心配しなくても大丈夫なのに…。』
心菜がそう抗議してもその手を緩める事はない。
『ココにちょっかい出すなって忠告メールが来た。後、1人で寂しそうにしてたら気にかけてやって欲しいって。どっちだよ!って感じだよ。』
ハハハっと、楽しそうに笑いながらライアンは言う。
もう、子供じゃ無いんだから…恥ずかしい。と、心菜は思う。
『…もっと、噂通りの嫌な奴なら良かったのにな…。
ココに対して過保護で心配症で…バカが付くほど良い奴だよな。』
ライアンは爽やかな笑顔でそう言う。
「いつの間にか仲良しですね。」
心菜は2人の関係性を少し羨ましいなと思いながら、日本語でそう呟く。
『本当、こっちはケンカ腰だったのに、いつの間にかアイツの手のひらで踊らされてるよ。』
苦笑いしながらも、楽しそうなライアンの顔を見て、心菜は人知れずホッと肩を撫で下ろした。
心菜の食事量も増し、順調にお腹の子も成長している。
5月の半ばに提出した婚姻届も滞りなく受理されて、2人は晴れて夫婦になった。
心菜は病院に戻り、1週間前から新生児ICUの看護師助手として仕事をしている。
病院側の計らいで、6時間と言う短い勤務時間を無理なく働く事が出来ている。
蓮はと言うと、滞り始めた仕事を片付けに一時帰国を余儀なくされて、LAで作った新曲を携え日本に戻って行った。
「1週間、いや、5日で帰る。」
そう宣言して、仕事バック一つを持って日本に行ってしまった。
寂しさと心細さを味わいながら、心菜は1人LAの地で今日も元気に働いている。
日本は梅雨時だというのにLAの空はカラッとした快晴が、続き昼間は妊婦にとっては暑いくらいだ。
『ココ、仕事はどう?少しは慣れてきた?』
病院内の裏庭にある散歩道のベンチに腰掛けながら、1人遅いランチを食べていると、不意に後ろから声がして振り向く。
『あっ!お疲れ様です、Dr.ライアン。
覚える事は沢山ありますけど、楽しく働かせてもらっています。』
にこりと太陽の様な笑顔を向けて心菜が笑う。
その笑顔を見て、充実した日々を送っている事をライアンは一目で理解する。
『元気そうで良かった。新生児は大変だろうけどその分やり甲斐もあるし、喜びも多いから妊婦の君にはピッタリだよね。』
そう言って、ライアンは心菜のベンチの隣に座る。
あの日以来、何度かカフェにも顔を出し、蓮と小競り合いをしながらも和解したようで、2人の関係は今や友情にも似た不思議な感情で成り立っている。
『蓮は日本に戻ってるんだって?
アイツ律儀に俺に連絡よこしてきた。』
嫌そうに、だけど嬉しそうにそう言うライアンは、何が吹っ切れた様な、カラッとしたLAの空みたいな笑顔で笑う。
『蓮さん、心配症なので…何か迷惑な頼まれ事とかされませんでしたか?』
心菜は心配になってライアンに問う。
なんせ、最近の蓮は過剰に心菜を心配し、買い物に行くにもカバン一つ持たせてはくれず、階段を少しでも登るようならば、抱き抱えるかの如く介助してくるから困ってしまう。
『妊娠は病気では無いのだから、そんなに心配しなくても大丈夫なのに…。』
心菜がそう抗議してもその手を緩める事はない。
『ココにちょっかい出すなって忠告メールが来た。後、1人で寂しそうにしてたら気にかけてやって欲しいって。どっちだよ!って感じだよ。』
ハハハっと、楽しそうに笑いながらライアンは言う。
もう、子供じゃ無いんだから…恥ずかしい。と、心菜は思う。
『…もっと、噂通りの嫌な奴なら良かったのにな…。
ココに対して過保護で心配症で…バカが付くほど良い奴だよな。』
ライアンは爽やかな笑顔でそう言う。
「いつの間にか仲良しですね。」
心菜は2人の関係性を少し羨ましいなと思いながら、日本語でそう呟く。
『本当、こっちはケンカ腰だったのに、いつの間にかアイツの手のひらで踊らされてるよ。』
苦笑いしながらも、楽しそうなライアンの顔を見て、心菜は人知れずホッと肩を撫で下ろした。