この唄を君に捧ぐ(誰にも言えない秘密の恋をしました)続編
「リリース日が決まったら、ポスター撮りとPV撮影はLAで行います。またスタジオが決まり次第連絡します。
あと…来月に雑誌のオファーがきてますが、どうしますか?」

「LAまで来るんだったら考えてやる。」

森元はハァーと大きくため息を吐きながら頭を抱える。

「…分かりました。こちらの要望として伝えます。もし…もしも決まったらその時はお願いしますね。」
念押しされて、一通りの伝達事項を終える。

「3カ月後には日本に戻るから、それまではよろしく。」

俺はそう言い残して車を降りる。

1人ぐらい新人アーティストをスカウトして、森元を付ければ忙しくて野望どころじゃなくなるだろうか…。

俺は本気でそう思いながら空港での時間を過ごす。

そのタイミングでスマホが震え着信を確認する。
「もしもし、龍二か。」

『そうだよ!!何だよ帰ってるんなら伝えろよな。』
日本での多忙な毎日に、龍二の事は二の次になっていた。

「お前と会ってる暇なんて無かったんだ。今からLAに帰る。何かあったらLAに来てくれ。」

『はぁ。そんなに簡単に行ける訳ないだろ。
お前がこっちにいるのだって、洋子さんに聞いて知ったんだからな。次来た時覚えてろよ!』

「暇があったら連絡する。
それより何の用だ?」
早めに本題に入ろうと思い、話しの先を促す。

『一応、お前には知らせておこうと思って。
お前の親父さん今、LAにいるぞ。多分お前がいない間に、ここちゃんに会ってんじゃないかなと思ってさ。』

「はっ!?」
親父には二度と心菜を傷つけないよう、釘を打っておいたつもりだったのだが…。

もしも彼女が傷つくようなことがあったならば二度と許さない。

『まあ、落ち着け。こっちが勝手に心配になっただけで、特に深い意味は無いかもしれない。ここちゃんからは何も言ってこないんだろ?』

「気安く名前で呼ぶな。
心菜は何かあっても告げ口するような子じゃない。だから余計心配なんだ。」
昨日、電話した時は特に変わった様子もなかった。

親父に何を言われたのか…。
気になって仕方がなくなる。

『名前ぐらい好きに呼んだっていいだろ。洋子さんがここちゃんって呼んでたからつい。
まぁ、本人が何ともないなら取り越し苦労だろ。』

そうだといいが…
こっちから聞き出すべきか、向こうが話すまで待つべきか…心菜の事になると途端に判断が付かなくなる。

龍二と早々に通話を切った俺は、心菜に電話しようとスマホをタップする。
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