この唄を君に捧ぐ(誰にも言えない秘密の恋をしました)続編
ベッドに乗せられ運ばれて来た彼女を見て、蒼白い顔に生気が見られず心配になる。

彼女のベッド脇のパイプ椅子に座り、そっと名前を呼ぶ。

すると少しだけ瞼が揺れて指が微かに動く。
その手を握りしめて、
「ありがとう。無事で、良かった…。」
言葉が詰まり涙が出そうになる。

情け無い…。
俺がしっかりしなくてどうする。
自分を戒め顔を上げる。

「…赤ちゃんは……?」
力無い声で心菜が口を開く。

「今、検査をして終わったら連れて来てくれる。俺もまだ会えてない。」

「泣き声は聞こえたんだけど…楽しみだね。」
帝王切開は部分麻酔らしく、分娩中周りの声も聞こえるらしい。

「途中で気持ち悪くなっちゃって…。」
力無くそれでも一生懸命に話す心菜の額にキスをする。

「疲れただろ。少し休んだ方が良い。」
いろいろな事が一気に押し寄せクタクタだろうと、チビが来るまで休ませる。
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