この唄を君に捧ぐ(誰にも言えない秘密の恋をしました)続編
楽しい気持ちで食べ終えて、片付けも蓮が率先してやってくれた。

その間に、心菜をバスルームに行かせ寝支度をさせる。

バスルームは典型的なアメリカスタイルで、シャワーブースと洗面台、そしてトイレが置かれたシンプルな作りだ。

日本のように寛げる場所では決して無いから、ささっと義務的に髪と身体を洗って外に出る。

髪を乾かし、簡単にお肌の手入れをして歯を磨く。ここまで30分足らずで出来てしまう。

部屋に戻ると片付けを終えた蓮が、窓の縁に座り外を眺めていた。

LAの夜はサイレンの音や、罵声が聞こえたりと物騒だから、今から蓮を帰す訳には行かないと心菜は思う。

「蓮さん、お待たせしました。
今夜は蓮さんも泊まっていって。ちょっと狭くて申し訳ないけど、夜は何かと物騒だから。」
背中越しにそう伝える。

蓮は嬉しそうにこちらを振り向き、

「ありがとう。そうさせてもらう。」
と、微笑む。

でも…替えの服とか何も無いな…
日本のようにこの時間で買えるような店も無い。
心菜が思案に暮れていると、蓮がポンポンと頭を撫ぜてくるから我に帰る。

「大丈夫だ。1日くらい問題ない。」
と、まるで心を読み取ったかのように言って、バスルームに行ってしまった。

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