この唄を君に捧ぐ(誰にも言えない秘密の恋をしました)続編
一方蓮は、作りたてのパンケーキを持って心菜の元に戻る。
「待たせてごめん。」
個室に入るなり、蓮は心菜を1人にした事を謝る。

「お帰りなさい。」
心菜が嬉しそうに、にこりと笑うからそれだけで救われた気分になる。

「パンケーキの作り方教えてもらって来た。これでいつでも食べたい時に作ってやれる。」
蓮もつられて笑顔になりながら、机にパンケーキを2皿並べる。

「こっちが俺で、こっちが龍二が作った方だ。どっちが食べたい?」
皿をテーブルに並べながら試すように心菜の顔を覗く。

フフッと心菜は笑い、
「もちろん、蓮さんが作った方に決まってる。ありがとう。」
と、蓮が作ったパンケーキを自分の方に寄せる。

「うわぁー。ぷるぷるでプリンみたいに揺れてる。
凄いね。焼き加減とか難しいんじゃないの?」
ゆらゆらとお皿を揺らしながら、心菜は嬉しそうに蓮を見る。

「さすがにまだまだ龍二には敵わない。確かに火加減が難しくて、龍二の方がもっとふわふわしてる。両方食べ比べしたらいい。」
蓮が気を遣ってそう言うが、

「私は蓮さんのだけで充分だよ。だって、蓮さんが初めて作ったパンケーキだよ。こんな貴重な物を食べれるのは私限定なんだから。」
キラキラ目を輝かせて、写真まで撮り始める。

蓮はそんな心菜を目を細めてしばらく見守っていた。

そっとフォークとナイフで食べ始めた心菜は幸せそうに、一口ひと口を堪能している。

「あー幸せ。頬っぺた落ちちゃう。」
噛み締めながら食べている。蓮は愛しさを積もらせ、幸せを噛み締めていた。
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