この唄を君に捧ぐ(誰にも言えない秘密の恋をしました)続編
「心菜、俺の側にいてくれて、心を産んでくれて、俺を幸せにしてくれて、ありがとう。」
パンケーキを食べ終えた心菜の手を取り蓮が言う。
突然の事に心菜は戸惑い、目をぱちくりしている。
「どうしたの急に?
もう蓮さんからは充分過ぎるくらいたくさんお礼は貰ったよ。」
心菜は微笑み蓮の手を握り返す。
「母は偉大だ。それに比べて俺は何も出来きない自分がもどかしい。命をかけて痛みや怖さに立ち向かう心菜と、変わってやれる事が出来たらと思うほどだった。」
「蓮さんが側にいてくれたから、怖くなかったし平気だったんだよ。こちらこそありがとう。
だけど…本当はちゃんと自分の力で産んであげたかった。」
寂しそうに心菜が言う。
帝王切開がお産を楽してると言う事は無い。
麻酔をして痛みは少ないがお腹を切るのだから、母体の負担は変わらない。
その後の回復だって普通分娩と大変なのはどちらも変わらないのだ。
だけど心菜の中ではズルしてしまったと言う思いを、少なからず抱えてしまったようだった。
「心菜、帝王切開が楽なお産だとは思わない。痛みは同じだ。凄いと思った。俺には無理だ。世の母親は偉大だ、頭が上がらない。」
蓮が言葉を並べて褒め称えるから、心菜は照れてしまう。
「私はまだまだ新米ママだよ。だけど、私のお母さんや蓮さんのお母様、産んで育ててくれた事に改めて凄いなと思った。尊敬しちゃうね。」
俺の母親は産んだだけで、後は人任せだったが…蓮はそう思うが、産む苦しさを身をもって知った手前、軽はずみには言えないと言葉を飲む。
「俺はこれまで以上に心菜を大事にすると誓う。
何よりも誰よりも幸せにしたいし、守りたいと思っている。」
照れ臭い程の告白にタジタジになってしまう。
「蓮さんと一緒に幸せになるんだからね。心が外出
出来るようになったら、いろんな所に旅行に行こうね。美味しい物沢山食べて、見た事無い綺麗な景色を見て、3人で一緒に楽しもう。」
「そうだな…楽しそうだ。
…俺がこの仕事してなかったら、もっと自由に連れて行ってやれるのにな。」
蓮が珍しく弱音を吐くから、心菜は慌て言葉を紡ぐ。
「誇るべき立派な仕事だよ。
蓮さんの音楽が沢山の人を幸せにしたり、励ましたり寄り添ったり、そういう意味では看護のお仕事と似てるなって思ってる。」
心菜が蓮を尊敬の眼差しで見つめる。
照れ臭いのは今度は蓮の番で…思わず目を逸らし外を見る。
パラパラと降り出した雨が、窓にあたり冷たく濡らすけど、個室の中は暖かく2人の体温はポカポカだった。
幸せを噛み締めながら心菜は言う。
「どこかに行かなくても、3人一緒に居られるだけで幸せだよね。それにほら、LAとか海外だったら堂々と歩けるし、蓮さんのそばに居られれば全然平気。」
蓮はそれでも決意する。
「近いうちに、世間に伝えようと思う。
結婚した事、家族が出来た事。俺は幸せだって事を。」
両手で握りしめた心菜の手をぎゅっとして、強い決意を示す。
不安になるのは心菜の方で…
蓮のこの今の人気に、その事実は邪魔になってしまうのではないかと思ってしまう。
ファン目線で蓮を見れば、誰か1人にその愛が向いてしまう事に寂しさと、ショックを受ける人は沢山いる筈…
「蓮さん…それは、事務所の人達とよく話し合った方が良いと思うよ?
今までのイメージだってあるし、ファンの方の心理だって大切だし…沢山傷付く人がいそう…。」
「心菜はいつだって他人の事が1番なんだな。
俺は心菜達のことで頭が一杯なのに。」
蓮は苦笑いする。
自分はその意味でも心が狭くて、世間様に申し訳ないがたたないと思っている。
ただ自分の為に、生計を立てるべき手段として歌手になり、世にさらされて生きる事になったけれど、ファンやその他大勢の心理なんて気にも求めず、ビジネスとしてでしか曲と向き合って来なかった事。
どこか他人事のような感覚だったから、応援してくれるファンと、上辺だけでしか向き合って来なかった。
今になって大きなツケがある事に気付いていた。
嫌われても仕方ない。
世間から見捨てられても仕方が無い。そう向き合って来たのは俺自身だ。
ここらでそのツケを支払うべきだと蓮は思う。
ありのままの俺を晒し、それでも世間から見捨てられ無いのであれば続けていきたい。
心菜に出会い、今はそう思っている。
心菜が言うようにもし、自分に価値があるのならばきっとこの世界も悪く無い。
例えいつか人気は消え去り、思い出の人になったとしてもそれはそれで良いとさえ思う。
俺はもう1人では無いのだから、家族を失う以外に怖い物は何も無い。
守りたい人の為にも今向き合わなければいけないと強く思う。
パンケーキを食べ終えた心菜の手を取り蓮が言う。
突然の事に心菜は戸惑い、目をぱちくりしている。
「どうしたの急に?
もう蓮さんからは充分過ぎるくらいたくさんお礼は貰ったよ。」
心菜は微笑み蓮の手を握り返す。
「母は偉大だ。それに比べて俺は何も出来きない自分がもどかしい。命をかけて痛みや怖さに立ち向かう心菜と、変わってやれる事が出来たらと思うほどだった。」
「蓮さんが側にいてくれたから、怖くなかったし平気だったんだよ。こちらこそありがとう。
だけど…本当はちゃんと自分の力で産んであげたかった。」
寂しそうに心菜が言う。
帝王切開がお産を楽してると言う事は無い。
麻酔をして痛みは少ないがお腹を切るのだから、母体の負担は変わらない。
その後の回復だって普通分娩と大変なのはどちらも変わらないのだ。
だけど心菜の中ではズルしてしまったと言う思いを、少なからず抱えてしまったようだった。
「心菜、帝王切開が楽なお産だとは思わない。痛みは同じだ。凄いと思った。俺には無理だ。世の母親は偉大だ、頭が上がらない。」
蓮が言葉を並べて褒め称えるから、心菜は照れてしまう。
「私はまだまだ新米ママだよ。だけど、私のお母さんや蓮さんのお母様、産んで育ててくれた事に改めて凄いなと思った。尊敬しちゃうね。」
俺の母親は産んだだけで、後は人任せだったが…蓮はそう思うが、産む苦しさを身をもって知った手前、軽はずみには言えないと言葉を飲む。
「俺はこれまで以上に心菜を大事にすると誓う。
何よりも誰よりも幸せにしたいし、守りたいと思っている。」
照れ臭い程の告白にタジタジになってしまう。
「蓮さんと一緒に幸せになるんだからね。心が外出
出来るようになったら、いろんな所に旅行に行こうね。美味しい物沢山食べて、見た事無い綺麗な景色を見て、3人で一緒に楽しもう。」
「そうだな…楽しそうだ。
…俺がこの仕事してなかったら、もっと自由に連れて行ってやれるのにな。」
蓮が珍しく弱音を吐くから、心菜は慌て言葉を紡ぐ。
「誇るべき立派な仕事だよ。
蓮さんの音楽が沢山の人を幸せにしたり、励ましたり寄り添ったり、そういう意味では看護のお仕事と似てるなって思ってる。」
心菜が蓮を尊敬の眼差しで見つめる。
照れ臭いのは今度は蓮の番で…思わず目を逸らし外を見る。
パラパラと降り出した雨が、窓にあたり冷たく濡らすけど、個室の中は暖かく2人の体温はポカポカだった。
幸せを噛み締めながら心菜は言う。
「どこかに行かなくても、3人一緒に居られるだけで幸せだよね。それにほら、LAとか海外だったら堂々と歩けるし、蓮さんのそばに居られれば全然平気。」
蓮はそれでも決意する。
「近いうちに、世間に伝えようと思う。
結婚した事、家族が出来た事。俺は幸せだって事を。」
両手で握りしめた心菜の手をぎゅっとして、強い決意を示す。
不安になるのは心菜の方で…
蓮のこの今の人気に、その事実は邪魔になってしまうのではないかと思ってしまう。
ファン目線で蓮を見れば、誰か1人にその愛が向いてしまう事に寂しさと、ショックを受ける人は沢山いる筈…
「蓮さん…それは、事務所の人達とよく話し合った方が良いと思うよ?
今までのイメージだってあるし、ファンの方の心理だって大切だし…沢山傷付く人がいそう…。」
「心菜はいつだって他人の事が1番なんだな。
俺は心菜達のことで頭が一杯なのに。」
蓮は苦笑いする。
自分はその意味でも心が狭くて、世間様に申し訳ないがたたないと思っている。
ただ自分の為に、生計を立てるべき手段として歌手になり、世にさらされて生きる事になったけれど、ファンやその他大勢の心理なんて気にも求めず、ビジネスとしてでしか曲と向き合って来なかった事。
どこか他人事のような感覚だったから、応援してくれるファンと、上辺だけでしか向き合って来なかった。
今になって大きなツケがある事に気付いていた。
嫌われても仕方ない。
世間から見捨てられても仕方が無い。そう向き合って来たのは俺自身だ。
ここらでそのツケを支払うべきだと蓮は思う。
ありのままの俺を晒し、それでも世間から見捨てられ無いのであれば続けていきたい。
心菜に出会い、今はそう思っている。
心菜が言うようにもし、自分に価値があるのならばきっとこの世界も悪く無い。
例えいつか人気は消え去り、思い出の人になったとしてもそれはそれで良いとさえ思う。
俺はもう1人では無いのだから、家族を失う以外に怖い物は何も無い。
守りたい人の為にも今向き合わなければいけないと強く思う。