占いとは当たるものらしい
イケメンだけじゃなく気遣いもできるなんて、課長はどれだけハイスペなんだ。
その顔にツッコみ、私は資料を読みはじめた。

「課長」

「あと十分待ってください。
……お電話代わりました、……」

私が声をかけたとき、彼は忙しそうにキーを打っていた。
さらに電話がかかってきてそちらにかかる。
……私より自分のほうが仕事大変なんじゃない?
なのに、こんな無駄な同行なんてなに考えてるんだろ。
しかし考えたところで課長の思惑なんてわかるわけがないので、課長の分とふたつ、インスタントではなく簡易ドリップのコーヒーを淹れた。
別にこれに特段意味はなく、ただ単にできた隙間時間を埋めるためだ。

「すみません、お待たせしました」

打ち合わせブースで待っていたら、十三分後に課長が来た。

「いえ。
あ、よろしければ。
冷めたかもしれませんが」

課長の前にカップを滑らせる。

「ありがとうございます。
じゃあ、飲みながらやりましょうか」

「はい」

課長はコーヒーを一口飲み、再び口を開いた。

「聞きたいことはありますか」

「そうですね……」

すでに資料は読んであるので、質疑応答からはじまる。
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