月夜に1人の私を見つけて
昼休憩。
気分転換に、今日は社食に行ってみることにした。
いつもは自席で、前の晩に用意したお弁当やコンビニ食を食べているが、今日も食欲がイマイチだ。
ゼリー飲料を飲んではいるが、そればかりだと、そのうち仕事中に倒れかねない。
社食に行けば、自分以外の人が作った食事があるし、それなら食べたくなるかと思って来てみたというワケだ。
社食のある階に着き、メニュー表を眺めてみた。
…どれも惹かれなかった。
「お、雪奈さん!」
声がした方を見ると、大和と、彼の同期らしき男2、3人が一緒に立っていた。雪奈より少し後ろで、オーダーの列に並んでいる。
「珍しいっすね、社食にいるなんて。何食べるんです?」
列に並んだまま、少し離れたところから大和が声をかけてくれる。
大和のニコニコ営業スマイルが、なぜか雪奈をホッとさせた。
「んー…悩み中、かな。」
そう言ってニコッと笑ってみせた後、
視線を大和から外すと、
雪奈は正面を向いて前の人に列に続き、歩みを進めた。
ざっと色々見てみたが、どれもこれも、やっぱり惹かれなかった。
とはいえ、社食で何も食べないワケには行かないので、サラダだけ取ってトレーに載せ、会計を済ませた。