月夜に1人の私を見つけて
「ごめん、他に好きな人ができた。実はもう付き合ってる。だから雪奈とはもう付き合えない。」
12月に入り、クリスマスムードも高まってきた街並み。
イルミネーションで辺りはキラキラと彩られ、輝いているのに、
雪奈の心の中は、
さっきまで点灯していたイルミネーションの電源が急に落ちたかのように真っ暗だ。
──もう付き合ってる、って何?私と付き合ってるのに、他の人が気になって好きになったってこと?
──私、そんなに…女としての魅力なかった?
「…雪奈?」
心配そうにのぞき込む怜。
しかし、彼が心配しているのは雪奈自身ではない。
きっと自分自身だ。
他に好きな人がいる、という理由で2年半も付き合った彼女を振った。
しかも、雪奈という彼女がいながら、
新しくできた好きな人ともう付き合っている。
誰に聞いても、ヒドいと言われるレベルの話。
それに対して何と言われるかと心配になり、
自分がどう責任を問われるのかを彼は気にして、
恐れている。
そう、感じた。