月夜に1人の私を見つけて
こんなに惨めで、
こんなに哀れで、
こんなに頼りない先輩のために、
夜中に、わざわざバイクで駆けつけてくれた後輩がくれる優しさが、嬉しい。
1人でいる時だって、こんなに泣いたことはない。
薄暗い部屋の中で、月明かりにだけ照らされて、大和に抱きしめてもらいながら、気付いた。
──寂しかったんだ、私。
信頼していた彼氏に捨てられても、平気なフリをしなくては、と思っていた。
浮気されたのも、女性としての魅力が足りなかったのが悪いんだと自分を責め、
早く立ち直らなきゃ、と急かした。
でも、ぽっかりと空いた心の穴はなかなか埋まらなくて焦っていた。
そんな中、無条件に抱きしめてくれる大和の優しさが、
自分ではどうにもできなかった心の穴を、
埋めてくれているように感じた。