月夜に1人の私を見つけて
慌てすぎてスマホを取り落とした。
拾い上げて画面を開くと。
『したくなりましたけど我慢しました(笑)』
──なんだ、キスしてないんじゃん。
一瞬、残念と思いかけたことに気付き、それを振り払うように、ふるふると頭を振った。
するとまた、新しいメッセージが画面に表示された。
『てか、ホントに起きたのさっきですか?しっかり眠れたんですね。よかった!』
──え?
見ると、もうすぐ14時半になるところだった。
ぼーっとしていて気付かなかったが、大和のメッセージは朝8時頃に届いていた。
『やば!私、寝すぎだね(笑)』
『それだけ疲れてたってことですよ。お疲れさまです。ところで、今日の夜、予定空いてますか?』
『予定?空いてるよ。』
『よかったら、一緒に飯食いに行きませんか?一緒に食べたら少しは食欲も湧くでしょうし。最近、雪奈さんがやつれて見えるから心配で…。』
──やつれて見えるんだ。確かに、ここ1週間くらいで急に3キロくらい体重減ったもんな…。
食堂でのことを思い出すと、大和となら少しは食が進む気がした。